コスト・プッシュ・インフレーション
cost push inflation(コスト・プッシュ・インフレーション)
コスト・プッシュ・インフレーション
コスト・プッシュ・インフレーションとは、供給側の原因(原材料費や賃金の上昇など)で引き起こされるインフレのことで、コスト・インフレーションともいいます。
供給型のインフレは、生産者側の構造的欠陥が原因となっているため、価格が上がっても、供給水準を増やすことはできません。その供給水準は、完全雇用水準に達しておらず、過少供給水準(超過需要)におかれています。
具体的には、農産物の凶作や原油価格の高騰などにより、従来の生産設備や生産工程に行き詰まりが生じる場合です。企業には、生産調整に伴うリストラが必要になり、失業や企業倒産が増大します。この供給能力の低下が超過需要をもたらす原因です。
しかし、不景気で価格が上がっても、強い需要がある生活必需品などは消費されるため、物価は上昇し続けます。これは、企業収益も増えず、賃金(所得)も上がらない状態での物価上昇です。
◆供給(生産量)が過少である原因
供給(生産量)が過少である原因として、大きく2つの原因が考えられます。
(1)原材料費の高騰
原油などの原材料費は、国際紛争などが起こると、生産量が不安定になります。これらの原材料費の値上がりが商品の価格に転嫁されることでインフレが生じます。
商品の価格は、企業が決めたもので、消費者の意向を反映したものではありません。経済循環の道筋が遮断されていると、生産量は、完全雇用水準を下回ります。
(2)賃金の高止まり
雇用者賃金の高止まり(賃金が高値で安定している状態)が商品の価格に転嫁されることでもインフレが生じます。
①労働組合が団体交渉で賃上げを決定することで労働コストを押し上げる場合
②中小企業が人材確保のために高給を支給する場合 など
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