ディマンド・プル・インフレーション
demand pull inflation(ディマンド・プル・インフレーション)
ディマンド・プル・インフレーション
ディマンド・プル・インフレーションとは、需要(通貨量)が過度に増えることで引き起こされるインフレのことで、需要インフレーションともいいます。
通貨量(マネーストック)は、景気が好調であるときに拡大します。好景気で需要が拡大して物価が上昇すると、企業収益が増えます。すると賃金(所得)が増えて需要が拡大するという好循環を生み出します。需要型のインフレは、経済の好循環がもたらすところに大きな特徴があります。
◆需要(通貨量)が増える原因
需要(通貨量)が増える原因として、大きく3つの原因が考えられます。(1)景気の過熱、(2)経済政策の失敗、(3)軍事費の膨張 です。
(1)景気の過熱
好景気では、取引が活発でお金がたくさん使われるため、通貨量は増えていきます。生産も増えて、需要も増えるという好循環に入ります。しかし、フル操業で完全雇用水準の生産量に到達すると、これ以上、生産量を増やせなくなります。したがって、需要の増大が続くと、超過需要が生じてしまいます。
(2)経済政策の失敗
政府は、完全雇用を実現させるために、財政支出(公共事業)や金融緩和という「需要(通貨量)を増やす政策」を行います。しかし、これらの政策が必要以上に行われると、超過需要が生じてしまいます。
公共事業のやりすぎが原因のインフレを財政インフレ、金融緩和の行き過ぎが原因のインフレを信用インフレといいます。
(3)軍事費の膨張
軍事費の膨張が引き起こすインフレを軍事インフレといいます。軍事支出の規模は、政府が独断(専管事項)で決めるため、超過需要に陥りやすいという問題があります。
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