景気(けいき)
business conditions(ビジネス・コンディションズ)
景気
景気とは、経済活動の勢いのことです。
経済活動の勢いは、取引量の増減にあらわれるため、景気は取引の状況から捉えられます。
◆好景気と不景気
モノがよく売れて企業の利益が増加し、個人の所得が増えるよい状態を好景気とか好況といいます。一方、モノの売れ行きが悪く企業の利益が減少し、個人の所得が減る悪い状態を不景気とか不況といいます。
◆景気の循環
経済活動の状態は、常に変化しています。これを景気循環または景気変動といいます。
景気は、「好景気(好況)→後退期→不景気(不況)→回復期」を1つの周期として循環しています。
◆景気の山と景気の谷
景気は、上昇(拡張)する時期と、下降(収縮)する時期を繰り返して循環しています。
景気は、下降の下限点である景気の谷から、上昇の上限点である景気の山、そしてまた景気の谷へと循環しています。
景気の循環
第1循環
景気の山 1951(昭和26)年6月
↓ 後退局面 4ヶ月
景気の谷 1951(昭和26)年10月
第2循環(37ヶ月)
↓ 拡張局面 27ヶ月
景気の山 1954(昭和29)年1月
↓ 後退局面 10ヶ月
景気の谷 1954(昭和29)年11月
第3循環(43ヶ月)
↓ 拡張局面 31ヶ月 …神武景気
景気の山 1957(昭和32)年6月
↓ 後退局面 12ヶ月
景気の谷 1958(昭和33)年6月
第4循環(52ヶ月)
↓ 拡張局面 42ヶ月 …岩戸景気
景気の山 1961(昭和36)年12月
↓ 後退局面 10ヶ月
景気の谷 1962(昭和37)年10月
第5循環(36ヶ月)
↓ 拡張局面 24ヶ月
景気の山 1964(昭和39)年10月
↓ 後退局面 12ヶ月
景気の谷 1965(昭和40)年10月
第6循環(74ヶ月)
↓ 拡張局面 57ヶ月 …いざなぎ景気
景気の山 1970(昭和45)年7月
↓ 後退局面 17ヶ月
景気の谷 1971(昭和46)年12月
第7循環(39ヶ月)
↓ 拡張局面 23ヶ月
景気の山 1973(昭和48)年11月
↓ 後退局面 16ヶ月
景気の谷 1975(昭和50)年3月
第8循環(31ヶ月)
↓ 拡張局面 22ヶ月
景気の山 1977(昭和52)年1月
↓ 後退局面 9ヶ月
景気の谷 1977(昭和52)年10月
第9循環(64ヶ月)
↓ 拡張局面 28ヶ月
景気の山 1980(昭和55)年2月
↓ 後退局面 36ヶ月
景気の谷 1983(昭和58)年2月
第10循環(45ヶ月)
↓ 拡張局面 28ヶ月
景気の山 1985(昭和60)年6月
↓ 後退局面 17ヶ月
景気の谷 1986(昭和61)年11月
第11循環(83ヶ月)
↓ 拡張局面 51ヶ月 …バブル景気
景気の山 1991(平成3)年2月
↓ 後退局面 32ヶ月
景気の谷 1993(平成5)年10月
第12循環(63ヶ月)
↓ 拡張局面 43ヶ月
景気の山 1997(平成9)年5月
↓ 後退局面 20ヶ月
景気の谷 1999(平成11)年1月
第13循環(36ヶ月)
↓ 拡張局面 22ヶ月
景気の山 2000(平成12)年11月
↓ 後退局面 14ヶ月
景気の谷 2002(平成14)年1月
第14循環(86ヶ月)
↓ 拡張局面 73ヶ月 …いざなみ景気
景気の山 2008(平成20)年2月
↓ 後退局面 13ヶ月
景気の谷 2009(平成21)年3月
第15循環(44ヶ月)
↓ 拡張局面 36ヶ月
景気の山 2012(平成24)年3月
↓ 後退局面 8ヶ月
景気の谷 2012(平成24)年11月
第16循環(90ヶ月)
↓ 拡張局面 71ヶ月
景気の山 2018(平成30)年10月
↓ 後退局面 19ヶ月
景気の谷 2020(令和2年)年5月
(内閣府HPの景気基準日付より作成)
※2021年11月30日、内閣府の景気動向指数研究会が、景気の谷を2020年5月だったと暫定的に判定しました。
※2022年7月19日、内閣府の景気動向指数研究会が、第16循環の景気の山を2018年10月、景気の谷を2020年5月に確定しました。
◆景気循環の4つの波
景気循環は、周期の長さにより、キチンの波、ジュグラーの波、クズネッツの波、コンドラチェフの波の4つにわけられます。
◆日本の4大景気
戦後の日本の大きな景気の拡張局面に、神武景気、岩戸景気、いざなぎ景気、バブル景気があります。これを4大景気と呼んでいます。
◆景気統計
景気の動向を見るための統計として、景気動向指数、景気ウォッチャー調査、消費動向調査、消費者物価指数などが使われています。
◆経済の病気
市場メカニズムが機能していると、市場の「取引」が自ずと経済の勢いを調整します。
景気が過熱すると、市場価格が大きく上昇することで、需要が抑えられます。価格の動きが景気の頭を抑える働きをします。一方、景気が悪化すると、市場価格が大きく下落することで、需要が生み出されます。価格の動きが景気の腰を持ち上げる働きをします。これが、市場がもつ景気の自動調整機能です。
これに対して、市場メカニズムが機能していないと、景気はうまく循環しなくなります。経済の変調は、生活をおびやかす経済の病気です。
経済の病気は、インフレーション(景気が過熱して物価が継続的に上がっていく現象)、デフレーション(景気が後退して物価が継続的に下がっていく現象)、スタグフレーション(インフレ(物価の継続的上昇)と景気後退が同時に進行する現象)、バブル経済(投機により、資産価格が高騰する現象)の4つに大別されます。
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