経済政策(けいざいせいさく)
economic policy(エコノミック・ポリシー)
経済政策
経済政策とは、物価の安定、雇用水準の維持、最適な資源配分、所得の再分配などの経済の目標を達成させるための政府の政策のことです。
簡単にいえば、実質国民所得を増やすために国家が行う政策のことです。
経済政策は、マクロ経済政策とミクロ経済政策に分けられます。
マクロ経済政策
マクロ経済政策は、経済の状態(物価が安定しているか、失業がないか)を判断し、経済政策の必要性を見極めます。
≪財政政策と金融政策≫
マクロ経済政策は、大きく、財政政策と金融政策にわけられます。財政政策は、需要に直接働きかける方法です。一方、金融政策は、需要に間接的に働きかける方法です。
◆財政政策とは何か
財政政策(フィスカル・ポリシー)とは、政府が歳入・歳出を増減させることで、国の総需要を調整(需要の拡大や抑制)しようとする政策のことです。財政政策には、主に公共投資(公共事業の拡大・縮小)によるものと、税制措置(減税、増税)による2つの手段があります。
ビルトイン・スタビライザー(Built-in stabilizer)は、財政制度に予め組み込まれた、景気変動を自動的に調節する機能のことです。個人所得税における累進課税や雇用保険(失業等給付)が挙げられます。
累進課税には、景気の変動に対する安定化効果があります。好況時には、所得が増加すると納税額も増加し、可処分所得の増加を抑制して消費の拡大を抑えることができます。一方、不況時には、所得が減少すると納税額も減少し、消費の減少が緩和される効果があります。
雇用保険(失業等給付)は、不況時に所得が減少すると、納税額も減少するため、消費の減少が緩和されます。さらに、失業者には給付金が支給されるため、消費水準の低下を抑制する効果があります。
◆金融政策とは何か
金融政策とは、中央銀行が物価の安定と経済成長、国際収支の均衡を図るために、金利や通貨供給量を調節する政策のことです。
金融政策の基本方針は、日本銀行政策委員会の会合で決定されます。日本銀行政策委員会は、日本銀行の最高意思決定機関です。
金融政策の手段は、(1)公開市場操作(オペレーション)、(2)政策金利操作、(3)支払準備率操作に大別されます。
(1)公開市場操作(オペレーション)とは、中央銀行が金融市場で、国債・社債・などの有価証券を売買することです。マネタリーベースの量を操作し、マネーストックや金利を調整する政策のことです。
(2)政策金利操作とは、現在の政策金利は無担保コール翌日物レートです。日銀は、無担保コール翌日物の貸し手として資金を供給したり、借りてとして資金を吸収したりすることにより、無担保コール翌日物の金利を操作します。
(3)支払準備率操作とは、日本銀行が支払準備率を上げ下げすることで、民間銀行が貸出しに回せるお金の量を調節することです。民間銀行は将来の預金の払い戻しに備えて、預金残高の一定割合を準備預金(法定準備金)として日本銀行に預けておかなければなりません。これを準備預金制度といい、この一定割合を支払準備率(法定準備率)といいます。
ミクロ経済政策
ミクロ経済政策とは、市場における (1)競争環境整備、(2)労働環境の改善、(3)社会保障制度の充実などを目指す政策のことです。
(1) 競争環境整備(規制・競争政策)とは、市場における競争環境整備に向けた取組のことです。公正な取引を確保するための規制として独占禁止法があります。
(2)労働環境の改善(労働政策)とは、誰もが意欲と能力に応じて働くことができる社会を目指す政策のことです。最低賃金制度や労働時間の規制、雇用保険制度などがあります。
(3)社会保障制度の充実(社会保障政策)とは、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障する政策のことです。年金制度、医療保険制度、生活保護制度などがあります。社会保障制度には、国民の生活を守るセーフティネットの役割があります。
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