マーシャルのK(まーしゃるのけー)
Marshallian k(マーシャリアン・ケー)
マーシャルのK
マーシャルのKは、一国の経済活動を表すGDP(国内総生産)にとって、マネーサプライ(通貨供給量)が適正水準にあるかどうかを判断するための指標です。
マーシャルのKは、イギリスの経済学者であるアルフレッド・マーシャルによって考案されたもので、貨幣の所得速度の逆数としても知られています。
マーシャルのKは、GDPに対するマネーサプライの割合を示します。GDPを1としたときに、マネーサプライが何倍であるかを表しています。したがって、マーシャルのKの値が大きいほど、世の中に多くのお金が出回っていることを示します。
マーシャルのKは、貨幣選好の強さを示しています。貨幣需要が取引需要のみからなると考えると、マーシャルのKは、一定と考えられます。
≪マーシャルのKの計算≫
マーシャルのKは、マネーサプライをGDPで割って求めます。計算には、マネーサプライ(通貨供給量)としてM2+CDを、GDP(国内総生産:経済活動を示す水準)として名目GDPを使用します。
M2+CDとは、M2(現金通貨、預金通貨、準通貨)にCD(譲渡性預金)を加えたもので、マネーサプライを捉える上で重視されている指標です。一方、名目GDPとは、物価変動の影響を考慮せずに計算された金額です。
たとえば、マネーサプライ(M2+CD)が700兆円で、名目GDPが500兆円であれば、マーシャルのKは、700÷500=1.4 と計算されます。
マーシャルのK=マネーサプライ(M2+CD)÷名目GDP
≪マーシャルのKの分析≫
マーシャルのKは、数字そのものの意味より、数年間の値の水準や動きに意味があります。マーシャルのKは、現在の値が長期間のトレンド(傾向線)からどれくらい離れているかを見ることで、マネーサプライが適正かどうかを判断します。平均からどれくらい乖離(かいり)しているかを見ると、お金が過剰に供給されていたかどうかがわかります。
たとえば、マーシャルのKがトレンドを大きく上回っていると、お金は出回りすぎていると判断できます。逆に、マーシャルのKがトレンドを大きく下回っていると、お金は不足していると判断できます。
◆日本のマーシャルのK
マーシャルのKは、経済規模の拡大とともに上昇する傾向があります。日本のマーシャルのKは、1980年から2002年の間に、0.85から1.35を超えるまで上昇してきています。実際、1980年代後半のバブル経済の時期や、1998年9月以降の「超」低金利政策が実施されている時期には、マーシャルのKがトレンド線から乖離(かいり)していることをグラフから読み取ることができます。
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