よくわかる!金融用語辞典 【インフレーション】

インフレーション

インフレーション
inflation(インフレーション)

インフレーション

インフレーションは、景気が過熱して物価が継続的に上がっていく現象です。略して、インフレといいます。

 

インフレは、家計を逼迫します。家計の給与の伸びが物価の伸びに追いつかないため、実質所得は低下して、生活は苦しくなっていきます。特に経済的弱者(年金生活者)の生活は非常に苦しくなります。

 

「物価が上昇する」と、モノを購入するのに、より多くのお金が必要になります。これは、お金の価値が下がることをあらわしています。 つまり、インフレは、貨幣価値が下落する現象です。

 

≪インフレの背景:超過需要≫

 

インフレは、家計のモノを買いたいという購買希望である「総需要」が、企業の生産量である「総供給」より大きいときに起こる現象です。需要が供給より大きい状態を超過需要といいます。

 

超過需要は、生産量(供給)を超える購買希望(需要)があることをあらわします。つまり、供給不足(品不足)が起こっているため、取引価格である物価が上昇するのです。

 

物価の上昇に伴って、生産量(供給)が増えると、物価上昇は止まります。しかし、何らかの事情で、生産量(供給)を増やせない状況が発生すると、供給不足が続いて、取引価格(物価)は継続的に上昇していきます。これがインフレです。

 

≪インフレ対策≫

 

インフレのときには、超過需要を解消させる必要があります。総需要抑制政策には、(1)マネーストック(通貨供給量を減らす、(2)財政支出を削減する、(3)増税をして消費を抑える、というような金融政策と財政政策があります。

 

インフレ(物価水準の上昇)と景気後退が同時に発生することをスタグフレーションといいます。インフレの発生が景気の過熱と呼応する場合には、総需要抑制政策をとる必要があります。しかし、スタグフレーションの場合には、総需要の増減で景気を調整する政策は有効ではありません。

 

≪インフレの種類≫

 

インフレの分類方法には、発生原因による分類と、上昇速度による分類があります。

 

◆発生原因による分類

 

インフレには、発生原因が需要サイドにあるディマンド・プル・インフレーションや、発生原因が供給サイドにあるコスト・プッシュ・インフレーションなどがあります。

 

ディマンド・プル・インフレーションは、景気の加熱が原因となり、総需要が総供給を超えることによって生じるインフレで、需要インフレーションともいいます。発生原因は需要サイドにあります。

 

発生原因が需要サイドにあるインフレには、ほかに、財政支出の拡大を原因として発生する財政インフレーション、貨幣の増刷により発生する貨幣インフレーション、銀行の信用創造による過剰な貸付によって発生する信用インフレーション、輸出が増加することによって発生する輸出インフレーション、軍事費の膨張が引き起こす軍事インフレーションなどがあります。

 

コスト・プッシュ・インフレーションは、賃金や原材料費の高騰が原因となり、生産費(賃金、原材料、燃料費)が上昇することによって発生するインフレで、コスト・インフレーションともいいます。発生原因は供給サイドにあります。

 

発生原因が供給サイドにあるインフレには、ほかに、海外のインフレにより輸入原材料の価格が上昇(1973年のオイル・ショックなど)することによって発生する輸入インフレーションなどがあります。

 

インフレーション

 

また、特定の生産要素の不足から、生産(供給)が需要を下回ることによって発生するインフレをボトルネック・インフレーションといいます。

 

◆上昇速度による分類

 

インフレは、物価水準の上昇速度によって、クリーピング・インフレーション、ギャロッピング・インフレーション、ハイパー・インフレーションなどに分類されます。

 

クリーピング・インフレーションは、物価水準が年率数%程度の割合で緩やかに上昇するインフレで、忍び寄るインフレーションや、マイルド・インフレーションともいいます。

 

ギャロッピング・インフレーションは、物価水準が年率10%を超える割合で上昇するインフレで、駆け足のインフレーションともいいます。

 

ハイパー・インフレーションは、物価水準が1年間に数倍に上昇するインフレで、超インフレーションともいいます。

 

インフレーション

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