量的・質的金融緩和(りょうてき・しつてききんゆうかんわ)
Quantitative and Qualitative Monetary Easing(クォンティタティブ・アンド・クォリタティブ・マネタリー・イージング)
量的・質的金融緩和
【量的・質的金融緩和とは?】
量的・質的金融緩和とは、日本銀行の金融市場調節の操作目標を「マネタリーベース」とする、“量・質ともに次元の違う”金融緩和政策のことで、「異次元緩和」ともいいます。
2013(平成25)年4月4日、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が、就任後初めての金融政策決定会合で量的・質的金融緩和の導入を決めました。
量的・質的金融緩和は、デフレ脱却を目的とするアベノミクスが掲げる「3本の矢」のうちの1本です。
安倍首相は、この新たな金融緩和策について「日銀は見事に期待に応えた」と高く評価しています。
【要旨は?】
2%のインフレ目標を2年で実現させ、デフレ脱却を目指します。
日銀の黒田総裁は、デフレ脱却を2年で達成するために、「現時点で必要と考えられるあらゆる措置を取ったと確信している」と述べています。
日本銀行は、「2%の物価安定 の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する」と表明しています。
【マネタリーベースとは?】
マネタリーベースとは、日本銀行が市場に供給するお金のことで、世の中の現金(お札と貨幣)と日銀当座預金の合計です。
日銀がマネタリーベースを増やすと、金利が下がります。
金利が下がると、企業や個人が銀行からお金を借りやすくなって、投資が増え、経済が活発になります。
【銀行券ルールとは?】
銀行券ルールとは、“日本銀行が保有する長期国債の残高は、銀行券発行残高を上限とする”という考え方です。
2001年3月19日に量的緩和政策を導入した際に、日本銀行が設定しました。
【財政ファイナンスとは?】
財政ファイナンスとは、政府の発行した国債等を日本銀行が直接引き受けることで、国債のマネタイゼーション(貨幣化)ともいいます。
財政ファイナンスを行うと、政府は国債を発行して日銀に引き受けさせ、日銀は日銀券を発行して政府に資金を融通することになります。将来的にインフレを招く恐れがあり、財政の健全性を保つ意味でも、日銀の直接引き受けは財政法で禁止されています。
日本銀行は、長期国債の保有額を倍増させることについて、“財政ファイナンスの意図はなく、2%の物価安定目標を達成するための金融緩和策である”と述べています。
しかし、「銀行券ルール」を一時停止したことで、財政ファイナンスに対する歯止めがなくなったことから、新たなルールの検討が表明されています。
【リスクプレミアムとは?】
リスクプレミアムとは、リスク(債務不履行などの危険)の負担に対する報酬のことです。(リスクのある資産(危険資産)の期待収益率から、リスクのない資産(安全資産)の収益率を引いたもの)
日銀は、長めの金利が下がり、リスクプレミアムが縮小すれば、ポートフォリオ・リバランス効果が見込めると考えています。投資家や機関投資家が保有する金融商品の組み合わせを調整することで、投資や消費への波及効果が期待されています。
【海外の評価は?】
「米アトランタ地区連銀のロックハート総裁とシカゴ地区連銀のエバンズ総裁は4日、日銀が打ち出した積極的な景気刺激策について、世界経済の一助になり得るとして、慎重ながらも支持する考えを示した。」
「ジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁は4日、日本経済の力強い成長は世界経済見通しに影響を及ぼすとの見方を示した。ただ日銀が打ち出した積極的な緩和策についてはコメントを控えた。」
「4月4日、フィッシャー米ダラス地区連銀総裁は、日銀は日銀自体の考えに従って金融政策を運営するべきとしながらも、日銀の積極的な緩和策により、米連邦準備理事会(FRB)が資産買い入れプログラムを継続するよう圧力を受けることはあってはならないと述べた。」
「米連邦準備理事会(FRB)のイエレン副議長は4日、日銀が大胆な金融緩和を打ち出したことについて、長期にわたるデフレからの脱却に向けた適切な措置だとの見解を示した。」
「カナダ政府は4日、日銀がこれまでにない規模の金融緩和を決定したことについて支持を表明した。」
(ロイターより抜粋)
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