マネーストック
money stock(マネー・ストック)
マネーストック
マネーストックとは、世の中に出回っているお金の総量のことで、通貨残高ともいいます。
マネーストックは、日本銀行を含む金融機関全体から、経済全体にお金がどの程度供給されているかを見るのに利用される指標で、民間部門(金融機関と中央政府を除く、一般法人、個人、地方公共団体)の保有する通貨量残高を集計したものです。
【マネーサプライからマネーストックへ】
マネーストックは、これまでマネーサプライ(通貨供給量、貨幣供給量)として統計が公表されてきました。しかし、ゆうちょ銀行(2007年10月に業務開始)が国内銀行として扱われるようになったことや、金融商品の多様化したことなどから、2008年6月に見直しが行われました。
【4つの指標】
マネーストックは、どの範囲までの預金を通貨に含めるかで、M1(エムワン)、M2(エムツー)、M3(エムスリー)、広義流動性の4つの指標に分けられます。
マネーサプライ統計では「M2+CD」という指標を重視していましたが、現行のマネーストック統計では「M3」という指標を重視しています。
現行(マネーストック統計) (代表的な指標はM3)
※通貨発行主体
参考(マネーサプライ統計)(代表的な指標はM2+CD)
※通貨発行主体
【マネーストックとマネタリーベースの関係】
マネタリーベースの供給量が増えると、マネーストックも増加します。
マネタリーベースは、信用創造の基礎となるお金です。このお金が民間銀行に供給されて、貸出しの原資となります。
このお金は、「貸出しと預金の繰り返し」によって銀行と企業を循環することで、銀行の預金通貨をどんどん増やしていきます。これを銀行の信用創造機能と呼んでいます。
【マネーストックの計算】
マネーストックは、次のように計算できます。
マネーストック=マネタリーベース×貨幣乗数
マネーストック=現金通貨+預金通貨
【マネーストックと景気】
世の中のお金の総量であるマネーストックは、経済活動の大きさに応じて伸び縮みします。
取引されるモノ(財やサービス)に対して、お金の量が増えすぎると、物価が急激に上がる現象(インフレ)を引き起こします。
逆に、お金の量が減りすぎると、モノが余ってしまって物価が下がる現象(デフレ)に陥ります。
銀行の信用創造
銀行がお金を貸し出すことによって、マネーストックは増加します。
預金や貸出しの大きさは、景気に応じて決まります。
たとえば、好景気の時には、企業は生産設備を増やそうとして銀行からの借入を増やします。企業が銀行からの借入を増やすと、自然と通貨量は増加していきます。
預金は、民間銀行が「預金と貸出しの繰り返し」から創造するお金です。お金が銀行と企業を循環することで、銀行の預金通貨はどんどん増えていきます。これが銀行の信用創造機能です。
もし、銀行が故意に貸し渋りをおこなったりすると、お金の流れが止まり、経済活動を沈滞させる原因を作ってしまいます。
日本銀行(政府)の役割
マネーストックは、景気を見るのに重要な指標です。
日本銀行の役割は、経済活動に応じてマネーストックを調整するところにあります。そのため、日本銀行(政府)は通貨残高の動向を監視して、市中に出まわるお金の総量が常に適量となるように調整しています。
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