欧州通貨統合(おうしゅうつうかとうごう)
European monetary union(ヨーロピアン・マネタリー・ユニオン)
ユーロ
euro(ユーロ)
欧州通貨統合(ユーロの導入)
1999年1月1日、欧州通貨統合が実現し、欧州単一通貨「ユーロ(euro)」が導入されました。
【ユーロ圏ってなあに?】
EU加盟国のうち、ユーロを単一通貨として共有する地域・圏内のことを、ユーロ圏といいます。(EU加盟国以外で、ユーロを使用する国を含む場合もあります)
一般に、ユーロ圏の国を「ユーロ参加国」とか、「通貨統合参加国」といいます。欧州連合(EU)に加盟する15カ国のうち、11カ国が参加国となりました。
ユーロは導入されましたが、この時点でのユーロは帳簿上の通貨にすぎず、銀行間決済など、現金以外の取引に使用されました。
参加各国の通貨をユーロに切り換えるために必要な時間を考慮して、1999年1月1日から2001年12月末までが、旧通貨からユーロへの移行期間となりました。
ユーロと参加11カ国の通貨の換算レートは、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会が、1998年12月31日に決定し、固定しました。
ユーロ圏(参加11カ国)の人口は約2.9億人、国内総生産(GDP)は約6.5兆ドルとなりました。これは米国に迫る経済力です。
【通貨統合の参加基準】
通貨統合に参加するには、マーストリヒト条約で定められた基準をクリアしなければなりません。
参加基準は、次の表のようになっています。
イギリス、スウェーデン、ギリシャは、ERM2に不参加だったため、1999年1月のユーロ導入国決定段階では、参加基準を満たしていませんでした。
ギリシャは、他の経済基準も達成できていませんでしたが、その後の政策努力により基準達成が認められ、2001年1月1日に12番目の参加国となりました。
【財政基準】
財政基準をみてみましょう。通常、金融政策や財政政策は、ともに自国の中央銀行が行います。
しかし、欧州のユーロ通貨統合参加国は、金融政策は欧州中央銀行(ECB)によって統括され、財政政策は各国に委ねられます。
もし、財政が著しく悪化する参加国があると、ユーロの安定・成長を妨げてしまいます。そこで、安定成長協定(1997年採択)という、ユーロ参加国の財政規律を維持するための基準を設け、参加国に義務付けました。財政規律は、次の表のようになっています。
もし、財政赤字がGDP比3%を超えてしまったら…?
財政赤字がGDP比3%を超えると、欧州連合(EU)財務相理事会から財政赤字を減らすように勧告を受けます。
赤字が削減できない場合には、GDP比3%を超えた分に対して制裁が科されます。制裁金は無利子で預金され、2年以内に改善されなければ没収されます。
しかし、安定成長協定は、大国であるドイツとフランスが2002年の財政赤字がGDP比3%を超えてしまったにも関わらず、制裁を科すことができませんでした。
欧州中央銀行(ECB)や財政規律を維持している参加国などから批判の声が上がりましたが、ドイツ・フランス両国の圧力によって、2005年3月に安定成長協定の規制緩和が合意されました。
【ERM2(為替相場メカニズム)】
ERM2は、通貨統合非参加国(EU加盟国)の通貨と、ユーロ間の為替相場を一定の変動幅で連動させるものです。為替相場を安定させ、非参加国に通貨統合採択を促進させることを目的としています。
ERM2は、1979年に設立された欧州通貨制度のERMにかえて、1999年1月1日から実施されました。以前のERMと区別するために、ERM2とか、新ERM、ERMⅡなどと表現されています。
ERM2参加国は、対ユーロの中心レートが設定され、変動幅は上下15%となります。15%を超えた場合には、自動的に無制限の介入が行われます。
通貨統合参加国になると、対ユーロのレートは固定されます。
なお、ERM2への参加は任意となっています。
欧州通貨制度(EMS、1979年設立)は、通貨や経済の統合を目標として、欧州通貨単位ECUを創設し、ERM(為替相場メカニズム)を導入しました。
ERMは、EC加盟国の為替相場を一定の変動幅に抑えるため、各国の中央銀行に無制限の市場介入を義務づけました。
変動幅は中心レートから上下2.25%でしたが、後に15%に拡大されました。
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