欧州中央銀行(おうしゅうちゅうおうぎんこう)
European Central Bank(ヨーロピアン・セントラル・バンク)
ECB
欧州中央銀行(ECB)
欧州中央銀行(ECB)は、通貨統合参加国の金融政策・為替操作と、ユーロの発行を行う機関です。
物価の安定を目的として、1998年6月1日に設立されました。本部はドイツのフランクフルトにあります。
欧州中央銀行(ECB)の最高意思決定機関は、ECB政策理事会(ECB理事会ともいう)です。
ECB政策理事会は、ECB役員会(総裁1名、副総裁1名、理事4名)と、ユーロ圏の各国中銀総裁で構成されています。
ECB総裁
ECB総裁の任期は8年です。
初代総裁は、元オランダ銀行総裁のウィム・ドイセンベルク(Wim Duisenberg)です。
2003年11月には、フランス銀行総裁だったジャン=クロード・トリシェ(Jean-Claude Trichet)が第2代総裁となりました。
2011年11月には、イタリア銀行総裁だったマリオ・ドラギ(Mario Draghi)が第3代総裁となりました。
2019年11月には、国際通貨基金(IMF)専務理事だったフランス出身のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)が第4代総裁となりました。女性初の総裁です。
3つの政策金利
欧州中央銀行(ECB)は、中心となる主要政策金利のほか、上限金利、下限金利の「3つの政策金利」を設定しています。
主要政策金利とは、主要リファイナンス・オペ金利のことです。これは、定例買いオペの最低応札金利です。
上限金利とは、限界貸付ファシリティ金利(限界貸出金利)のことです。これは、金融機関が資金を中央銀行に借り入れる際の金利です。
下限金利とは、預金ファシリティ金利(中銀預金金利)のことです。これは、金融機関が資金を中央銀行に預け入れる際の金利です。
ユーロ導入直前の1998年12月には、ユーロ圏(11カ国)に適用する主要政策金利をすべて年3.0%に統一する政策を行いました。
【参考:ECBの主要政策金利】
(参照:ECB)
【ECB主要政策金利の推移グラフ】
マイナス金利を導入
2014年6月5日、欧州中央銀行(ECB)は、主要政策金利のリファイナンス金利を年0.25%から0.10%引き下げて年0.15%とすることを決めました。
また、中銀預金金利を0%から0.10%引き下げてマイナス0.10%とし、初めてマイナス金利を導入しました。
量的緩和を導入
2015年1月22日、欧州中央銀行(ECB)は定例理事会を開き、量的金融緩和策の実施を決めました。
国債などを毎月計600億ユーロ(約8.1兆円)ずつ、2016年9月まで買い入れます(買い入れ総額は約1.1兆ユーロ)。
マイナス金利が終了
2022年7月21日、欧州中央銀行(ECB)は、27日から政策金利を0.5%引き上げて、年0.5%とすることを決めました。利上げは11年ぶりです。
また、中銀預金金利はマイナス0.5%から0%に引き上げられ、2014年6月に導入したマイナス金利政策が終了しました。
ECB主要政策金利のその後の推移
2022年9月8日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.75%引き上げて、年1.25%とすることを決めました。0.75%の上げ幅は初めてです。
2022年10月27日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.75%引き上げて、年2.00%とすることを決めました。
2022年12月15日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.50%引き上げて、年2.50%とすることを決めました。
2023年2月2日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.50%引き上げて、年3.00%とすることを決めました。
2023年3月16日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.50%引き上げて、年3.50%とすることを決めました。
2023年5月4日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.25%引き上げて、年3.75%とすることを決めました。
2023年6月15日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.25%引き上げて、年4.00%とすることを決めました。
2023年7月2日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利を0.25%引き上げて、年4.25%とすることを決めました。
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