よくわかる!金融用語辞典 【レパトリエーション】

レパトリエーション

レパトリエーション
repatriation(レパトリエーション)

レパトリエーション

レパトリエーションとは、“本国へ帰還する”という意味の単語で、略してレパトリともいいます。
レパトリは、金融用語としては、“海外にある資金を自国内に戻す”という資金還流のことを意味します。

 

日本では、毎年2月から3月初旬にかけて、機関投資家等がレパトリを行う傾向があります。
機関投資家とは、常に資本市場に参加する、大口の投資を行う企業のことです。

 

日本の機関投資家は、国内外において資産運用を行っていますが、3月末の年度末決算に備えて、海外で運用している外貨建て資産(国債、株式、預金など)を売って円に交換する、という動きが起こります。
すると、外国為替市場では、「円買いドル売り」の注文が増えるために、円高要因となります。

 

 

 

【大震災の影響】

 

2011年3月11に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で、日本経済は大打撃を受けました。

 

日経平均株価は大暴落し、震災前日の3月10日は終値1万0434円38銭であったのに、3月15日の終値は8605円15銭まで急落してしまいました。
一方、外国為替市場では円が急騰し、3月17日には1ドル=76円25銭となり、阪神大震災後の1995年4月19日につけた1ドル=79円75銭の戦後最高値を16年ぶりに更新しました。

 

なぜ、株価は暴落しているのに、円は急騰するのでしょうか。

 

レパトリエーション

 

それは、海外の投機筋が“日本の機関投資家がレパトリを実施する”と予想するためです。

 

大震災によって、日本の企業や保険会社は、東北地方の復興や地震保険の支払いなどで多額のお金が必要となるため、海外で運用している外貨建て資産(国債、株式、預金など)を売って円に交換する(レパトリ)を行うだろう、と考えたのです。

 

レパトリが実施されれば円高になるので、“今のうちに円を買っておこう”という動きが起こり、その結果、急激な円高が進みました。

 

レパトリエーション

 

レパトリエーション

 

【円高になると、どうなるの…?】

 

急激な円高は、デフレーション(物価の継続的な下落)を引き起こすなど、日本経済に深刻な打撃を与えます。日本経済の悪化は、世界経済にも悪影響を及ぼします。

 

そこで、3月18日、日米欧の先進7か国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議の合意を受けて、協調介入(ドル買い/円売り介入)が実施されました。

 

協調介入とは、急激な為替相場の変動による悪影響を抑えるために、各国(先進主要国の中央銀行)と連携して、同時に外国為替の売買を行うことです。

 

協調介入は、一国で介入を行う単独介入よりも規模が大きく、高い効果が得られます。

 

レパトリエーション

 

協調介入の実施により、円の急上昇に歯止めがかかりました。3月11日から高騰し続けていた円は18日には急落し、25日の為替相場は81円前半で推移しています。

 

東日本大震災や福島第1原子力発電所の事故は、日本経済に戦後未曾有の損害をもたらしています。
こうした日本経済悪化のニュースが円安要因ではなく、円高要因になっていることに注意が必要です。

スポンサーリンク

金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > レパトリエーション

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

トップへ戻る