価格メカニズム(かかくめかにずむ)
price mechanism(プライス・メカニズム)
価格メカニズムの同義語
価格メカニズムとは?
価格メカニズムとは、市場における商品の価格が、モノの需要(買い注文)と供給(売り注文)に影響を及ぼし、取引を成立させるしくみのことです。
≪供給=需要のとき、取引が成立≫
経済学では、市場における売り手と買い手の力関係が均衡(供給=需要)状態にあるとき、取引が成立すると考えます。
売り手と買い手の力関係が超過供給(供給>需要)状態にある場合には、価格が下がり、供給と需要を一致させます。
逆に、売り手と買い手の力関係が超過需要(供給<需要)状態にある場合には、価格が上がり、供給と需要を一致させます。
このように、市場では、価格が動くことで、売り手と買い手の力関係を一致させます。
この価格調整により市場取引を成立させるしくみのことを価格メカニズムといいます。
価格メカニズムには同義語がたくさん!
「価格メカニズム」には、ほかにも、「価格機構」や「市場メカニズム」など、同じ意味で使われる同義語があります。
本や教科書などによって呼び方が異なるため、経済学に不慣れな方は戸惑うかもしれません。少し説明してみましょう。
≪価格メカニズムと市場メカニズム≫
価格メカニズムは、価格調整により市場取引を成立させるしくみのことです。価格の働きに着目した用語です。
価格メカニズム(price mechanism プライス・メカニズム)のプライス(price)は「価格」、メカニズム(mechanism)は「機構」と訳します。
したがって、価格メカニズム=プライス・メカニズム=価格機構=価格調整メカニズム となります。これらはすべて同義語です。
市場メカニズムも、価格メカニズムと意味は同じです。こちらは、市場のしくみに着目した用語です。
市場メカニズム(market mechanism マーケット・メカニズム)のマーケット(market)は「市場」、メカニズム(mechanism)は「機構」と訳します。
したがって、市場メカニズム=マーケット・メカニズム=市場機構 となります。これらもすべて同義語です。
≪価格システムと市場システム≫
システムの意味
システム(system)には、「体制」、「体系」、「組織網」、「機構」という意味があります。
経済学では、システムを「資源配分のしくみ」という意味で使っています。
価格システムとは?
価格システム(price system プライス・システム)とは、「価格によって資源を配分するしくみ」のことです。
※米国の経済学者であるスティグリッツ氏(注)は、価格システムについて、「価格が、希少資源を配分するうえで用いられる経済システム」であると解説しています。
市場システムとは?
市場システム(market system マーケット・システム)とは、「市場経済体制によって資源を配分するしくみ」のことです。
※市場システムとは、市場における価格の働きや制度、しくみなどを広範に捉えるときの用語です。
意味は、ほぼ同じ
これらの用語は、多少のニュアンスの違いはありますが、概ね、同じ意味と考えて差し支えないでしょう。
価格システム(プライス・システム)=市場システム(マーケット・システム)
(注)ジョセフ・ユージン・スティグリッツ(Joseph Eugene Stiglitz 1943-)は、米国の経済学者。1979年にジョン・ベイツ・クラーク賞(アメリカ経済学会による経済学賞)を受賞。2001年には“情報の非対称性を伴った市場分析”でジョージ・アカロフ、マイケル・スペンスと共に、ノーベル経済学賞を受賞。
出所:Joseph E. Stiglitzの「Principles of Macroeconomics」
glossary A5 Price system (価格システム)
the economic sysytem in which prices are used to allocate scarce resources
(価格が、希少資源を配分するうえで用いられる経済システム)
Principles of Macroeconomics
Author:Joseph E. Stiglitz, Carl E. Walsh, Santa Cruz)
Publisher: W. W. Norton & Company; 3 edition (January 2002)
ISBN-10: 0393975193
ISBN-13: 978-0393975192
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