経済学(けいざいがく)
economics(イコノミックス)

経済学の定義

生活水準の向上とは?

 

経済学の研究テーマは、「生活水準の向上」です。

 

生活とは、ヒトが衣食住に必要なモノを消費することによって、生命維持を行う活動のことです。消費に必要なおカネは、働いて得ます。すなわち、生活とは、仕事(労働)をしておカネを稼ぎ、モノを購入する行動(活動)のことです。生活を支えるしくみのことを「経済」と呼びます。

 

経済学では、「人々がより良い生活を送るには、どうしたらよいのか?」を考えます。
より良い生活(生活水準の向上)とは、モノの量を増やして、人々の物欲をより満足させることです。

 

経済成長とは?

 

消費者の需要(ヒトがモノを欲しがること)が増えてくると、生産者の供給(モノを作って売ること)活動が活発になり、一国全体のモノの生産量が増えます。生産物がすべて売り切れるのであれば、一国の総取引額(売買代金)も増えます。一国の総取引額(国内総生産)が増えると、国民一人一人の所得が増えて、個人の暮らし向きもよくなります。これを「経済成長」と呼びます。

 

経済成長(総生産量の増大)は、長期の視点で捉えたマクロ経済学の定義です。
「モノの価値」の視点から生活向上を考えると、経済学は「経済成長」の研究と定義されます。

 

最適とは?

 

モノを生産するには、元となる資源が必要です。しかし、資源は無限にあるわけではなく、限りがあります。
この限りある資源の中で、最大の生産量を実現し、なおかつ、平等に分配することが求められます。このような状態を「最適」といいます。

 

最適の実現」は、短期の視点で捉えた経済学の定義です。
「最適」は、資源配分問題(限りある資源の中で、できるだけ多くのモノを生産し、社会の成員に公平に分配するという課題)に応える定義です。

 

「最適」とは、均衡や完全雇用状態のことを指します。
均衡とは、ヒトの行動(予算内で上手な買物をすること)から生まれる効用(満足度)が最大になっている状態です。一方、完全雇用とは、労働供給(労働人口)の最大値のことです。

 

経済学の定義

 

最適=均衡

 

均衡」は、短期の視点で捉えたミクロ経済学の定義です。

 

人々は、限りある資源の中で、効用(満足度)を最大化しようとして、「労働力」を売り、「財・サービス」を購入(商品の組み合わせを選択)します。これを消費者の最適化行動といいます。

 

ミクロ経済学では、「最適化行動の結果、価格メカニズムが働けば、市場経済は均衡する」という学説を研究しています。

 

つまり、「ヒトの行動」の視点から生活向上を考えると、経済学とは、「均衡」の研究と定義されます。

 

最適=完全雇用状態

 

完全雇用とは、働きたい人が全員働ける状態(失業者がいない)のことです。このとき、労働市場は最適な状態にあります。
完全雇用」の実現は、短期の視点で捉えたマクロ経済学の定義です。

 

すなわち、ケインズによるマクロ経済学(ケインズ経済学)の定義は、短期の視点で捉えた「完全雇用の実現」です。
ただし、現在のマクロ経済学の定義は、長期の視点で捉えた「経済成長」です。

 

ミクロ経済学では、ヒトの行動(予算内で上手な買物をすること)がもたらす効用価値(満足感)の大きさを基準にして「均衡」を最適と捉えましたが、ケインズ経済学では、モノの価値を基準にして、「完全雇用」を最適と捉えました。

 

完全雇用量の労働力を使って生産した最終生産物総取引額のことを「完全雇用GDP」といいます。マクロ経済学の「完全雇用GDP」は、ミクロ経済学の「均衡」に匹敵する最適の概念です。

 

ケインズは、「価格メカニズムがうまく働かない場合に、総生産物の取引額は、過少雇用GDPとなり、失業が発生する」という学説を発表しています。

 

ところで、時間の経過に伴い、技術革新新商品開発人口増加など、資源を増加させる環境が整うと、モノの生産量は、限界なく増やすことが可能になります。
つまり、長期の視点で捉えたマクロ経済学は、「完全雇用」を実現した上で、更なる「経済成長」を遂げることと定義されます。

 

経済学の定義

 

最適にするには?

 

では、「経済成長」や「均衡」を実現させるには、どうしたらいいのでしょうか?
経済学では、次のようなことを考えます。

 

・機械を使って、生産効率を上げる(生産量を増やす)………技術革新
・作業を分担して、生産効率を上げる(生産量を増やす)………分業
・市場のルールを整える(生産物の交換を促進する)………取引促進のための規制

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参考ファイル

 
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