原油価格(げんゆかかく)
crude oil price(クルード・オイル・プライス)
原油価格
原油価格ってなあに?
「原油価格」とは、原油を取引するときの値段です。
原油(石油)は大切な資源ですが、投資対象としても注目されています。
世界で原油を扱う市場は、産地ごとに、大きく3つの市場に分かれています(原油は、産出される地域によって品質が異なります)。
なかでも、WTI原油先物価格は、原油価格の指標としてだけではなく、世界経済の動きを捉える経済指標として、とても注目されています。
原油価格の下落
原油価格が下落しています。近年では、2014年6月の平均価格1バレル=105.24ドルをピークに下がり続け、2016年1月には平均価格が1バレル=31.70ドルになりました。
原油価格は、どうして下落しているのでしょうか。
●中国経済の減速から世界経済が低迷し、需要が伸び悩んでいるため。
●米国の利上げにより、投資対象としての「原油」の魅力が薄れたため。
●米国の「シェール革命」によって、世界のエネルギー情勢が一変したため。
米国で、技術的に困難とされていたシェール層の開発が進み、シェールオイルやシェールガスが抽出できるようになりました。
これにより、世界のエネルギー情勢は一変し、米国は世界最大の石油・天然ガス生産国となりました。これを「シェール革命」といいます。
●米国の「シェールガス」に対抗するため、最大の産油国であるサウジアラビアが生産量の調整(減産)に反対したため。
【参考記事】
「ロシアのノバク・エネルギー相は28日、サウジアラビアが原油価格の下落に歯止めをかけるために、産油国各国が生産量をそれぞれ最大5%削減することを提案したことを明らかにした。……ノバク・エネルギー相の発言を受け、北海ブレント先物は一時8%急伸した。」
(2016/1/29、ロイター)
原油安の影響は?
原油価格が下がると、燃料費(飛行機、船、車)や、石油製品(プラスチック、合成繊維、合成ゴム、合成洗剤、塗料、医薬品など)の生産コストが安くなります。
生産コストが安くなると、企業の利益が増えます。すると、企業は価格競争(他社よりも価格を下げて販売数を増やし、より利益を増やす)を行うため、商品の価格(物価)が下がることが考えられます。
原油価格が下がると、日本の経済にはプラスに働きます。
しかし、原油価格が急落しすぎると、市場メカニズムがうまく機能しなくなり、日本の経済にはマイナスに働く可能性があります。
商品価格が下がりすぎると、企業の売上(取引額)は減りやすくなります。
なぜなら、商品価格の下落率に対して、需要(数量)の増加率が小さいからです。
例えば、商品価格が100円のとき、ある企業の需要が1000個だったとします。
商品価格が30円に急落しても、需要は急には増えません。仮に30%増しの1300個に需要が増えたとしても、売上高(取引額)は大きく減ってしまいます。
各企業の売上高が下がると、一国の利益も減ります。一国の利益(付加価値)の総合計であるGDP(最終生産物の総取引額)も減ってしまいます。
このように、価格の急落は、GDPを大きく押し下げてしまいます。
したがって、 原油価格が下がる → 価格が下がる → GDPが減る と予測されます。
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