『国富論』(こくふろん)
『諸国民の富』(しょこくみんのとみ)
An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations(アン・イクワイアリー・インツー・ザ・ネイチャー・アンド・コージィズ・オブ・ザ・ウエルス・オブ・ネーションズ)
『国富論』(『諸国民の富』)
『国富論』とは?
『国富論』は、古典学派の創始者であるアダム・スミスが1776年に出版した経済学の大著で、『諸国民の富』ともいいます。
原題は『An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations』(諸国民の富の性質と原因に関する研究)です。全5編で構成されています。
内容は?
当時のイギリスは、重商主義(国富=貿易差額による金銀貨幣の蓄積)という経済思想を採用していました。輸出>輸入によって、金銀貨幣をため込む政策です。
しかし、スミスはこの重商主義を批判しました。輸出ばかりでなく、輸入(消費財の購入)による国民生活の向上が、国を豊かにすると考えたのです。
スミスは、富とは生活に役立つ商品であり、富の源は生産を行う労働力にあると考えました。そして、国富(生活に役立つ商品)を増やすには、分業による生産性の向上が大切だと主張しました。
また、市場経済を自由競争に任せれば、需要と供給は自動的に調整され、社会全体は安定すると説きました。このとき、国民生活の満足度は最大化されます。スミスは市場メカニズムのことを「見えざる手」と表現しました。
本書は、近代経済学の基礎となり、現代の経済に大きな影響を与えました。
まとめ
アダム・スミスは、国富論の中で、
- 富の源は生産を行う労働力である
- 分業により生産効率が上がる
- 市場経済は、市場メカニズムが働くことで、国民生活の満足度が最大化される(市場メカニズムのことを「見えざる手」という)
という考えを示しています。
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