信用取引(しんようとりひき)
margin trading(マージン・トレーディング)
信用取引(12)空売り規制
不当な空売りが乱用されたため、金融庁は空売り規制(価格規制など)を強化
空売りは、株価が下落しても利益を得られる投資方法です。しかし、投機的な空売りの乱用により、意図的に株価を下落させることは違法です。
不当な空売りが乱用されたため、金融庁は、空売り規制の強化を行いました。「空売りへの総合的な取組みについて(2001年12月21日)」を策定・公表し、空売りに関する規制を「早急に取り組むべきデフレ対応策(2002年2月27日)」に盛り込みました。
今回の空売り規制は、1998年に旧大蔵省が行った空売り規制を強化したものです。
≪空売りの価格規制の強化≫
空売りには、貸株市場で株式を調達して売り付ける場合と、信用取引制度により証券金融会社から株式を調達して売り付ける場合があります。機関投資家は貸株市場を利用しますが、個人投資家は信用取引制度を利用します。
2002年3月6日施行の空売り規制では、貸株市場で株式を調達して空売りを行う場合の、「直近公表価格」に関する規制が改正されました。
※「直近公表価格(ちょっきんこうひょうかかく)」とは、証券取引所が直近に公表した価格のことをいいます。
従来の制度では、「直近公表価格」未満での空売りを禁止していましたが、3月6日施行の空売り規制により、次のように改正されました。
「直近公表価格」が、その直前の公表価格(直近公表価格と異なるもの)を下回る場合には、「直近公表価格」以下での空売りを禁止します。
ただし、「直近公表価格」が、その直前の公表価格(直近公表価格と異なるもの)を上回る場合には、これまでと同様に、「直近公表価格」未満での空売りが禁止となります。
≪貸借取引貸株料の新設≫
貸借取引貸株料とは、証券金融会社が証券会社を通じて、信用取引の売り方から徴収する貸株料です。
貸借取引貸株料は、品貸料(逆日歩)とは違います。買い方が受け取ることはできません。
これまで、証券金融会社は貸株料を無料としていましたが、2002年5月7日約定分から徴収することになりました。
貸借取引貸株料は、証券金融会社が徴収する貸株料(年率0.4%)に、0.75%上乗せして、年率1.15%とする証券会社が多いようです。
一方、買い方への融資金利は、証券金融会社が徴収する金利(年率0.6%)に、0.75%上乗せして、年率1.35%とする証券会社が多いようです。
≪証券会社の摘発≫
一部の証券会社で空売りの乱用が認められたため、金融庁は、空売りの明示・確認義務を信用取引にも適用するなど規制を強化し、空売り規制違反を行った証券会社に対して、行政処分を行いました。
≪空売り月間集計の公表≫
東京証券取引所は、2002年3月18日、貸株市場で株式を調達して売り付ける「空売り」の売買代金の月間総額を4月から毎月公表することを決め、4月22日に3月分の空売り月間集計を発表しました。
参考ファイル
金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > 信用取引(12)空売り規制