よくわかる!金融用語辞典 【トラッキング・ストック】

トラッキング・ストック

トラッキング・ストック
tracking stock(トラッキング・ストック)

トラッキング・ストック

トラッキング・ストック…特定の事業部門や子会社の業績に株価を連動させて配当を行う株式
日本版トラッキング・ストック…連結子会社の業績に連動する。子会社連動配当株という

 

トラッキング・ストックとは、特定の事業部門や子会社の業績に株価を連動させて、利益配当を行う株式のことです。株式の発行は親会社が行うため、調達した資金は親会社に入ります。

 

企業が普通株式を発行する場合、企業内の事業業績は総合的に評価されます。そのため、業績の良い事業部門は、コングロマリット・ディスカウント(高成長・高収益の見込みのある事業が、低い評価を受ける)の傾向があります。しかし、事業部門を分社化して株式公開を行うと、支配力低下を招いてしまいます。そこで考え出されたのがトラッキング・ストックです。

 

トラッキング・ストックは、新しい資金調達の手段として注目を集めています。トラッキング・ストックを発行すると、会社分割を行わずに資金調達が行えます。事業部門や子会社に対する支配力を維持することができます。

 

トラッキング・ストック

 

今後、トラッキング・ストックが大きな広がりをもつかどうかは、公正な情報開示が進むかどうかにかかっています。事業部門別の業績をどのように開示していくのか、大きな課題が残っています。

 

≪トラッキング・ストックの発行第1号≫

 

◆米国における発行第1号

 

1984年に、ゼネラル・モーターズ社が、買収した企業を対象としたトラッキング・ストックを発行しました。

 

◆日本における発行第1号

 

2001(平成13)年6月20日に、ソニーが、子会社ソニーコミュニケーションネットワークを対象とした子会社連動配当株(トラッキング・ストック形式)を東証一部に上場しました(公募価格3300円、初値2700円)。

 

子会社連動配当株は、連結子会社の業績に連動して利益配当を行う種類株式です。現行商法の枠内でトラッキング・ストック形式として発行するところから、日本版トラッキング・ストックとも呼ばれています。議決権は1株1議決権で、親会社に対して行使することができます。

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