よくわかる!金融用語辞典 【クレジットデリバティブ(4)トータル・レート・オブ・リターン・スワップ】

クレジットデリバティブ(4)トータル・レート・オブ・リターン・スワップ

クレジットデリバティブ
credit derivatives(クレジット・デリバティブ)

クレジットデリバティブ(4)トータル・レート・オブ・リターン・スワップ

債券の生み出す全損益と、市場金利を交換する取引

 

トータル・レート・オブ・リターン・スワップ(Total Rate of Return Swap)は、債券の生み出す全損益(クーポンと評価損益)と、市場金利を交換する取引です。市況などの理由から、保有する債券を売却できない場合に、信用リスクを回避させる方法です。帳簿上に債券を残したまま、債券を売却した場合と同じ効果が得られます。

 

トータル・レート・オブ・リターン・スワップの具体例を取り上げてみましょう。

 

A銀行を、プロテクションの買い手(信用リスクを回避しようとする者)、取引相手のB銀行を、プロテクションの売り手(保証を与える者)とします。

 

A銀行(保証の買い手)は、B銀行(保証の売り手)に債券のクーポンレートを支払い、代りにLIBOR+α を受取ります。さらに、取引最終日には、債券の評価益を交換します。
収益が発生した場合には、A銀行(保証の買い手)が、B銀行(保証の売り手)に評価益を受け渡します。逆に、損失が発生した場合には、B銀行(保証の売り手)が、A銀行(保証の買い手)に評価損を支払います。
評価損益は、スワップ契約開始時の債券価格と、スワップ契約終了時の債券価格の差額を計算したものです。開始時より終了時の価格が値上がりしていれば評価益となり、値下がりしていれば評価損となります。

 

クレジットデリバティブ(4)トータル・レート・オブ・リターン・スワップ

 

スワップの期間中に債券の発行会社が倒産した場合には、発生した評価損は、B銀行(保証の売り手)から支払われるので、A銀行(保証の買い手)は、保有する社債の損失を回避することができます。このTRORスワップ取引を使うと、A銀行(保証の買い手)は、信用リスクのある債券を売却して安全な債券を購入しておくのと同じ経済的効果が得られます。

 

※LIBOR(ライボー:London Inter Bank Offered Rate)は、ユーロ市場における、ロンドン銀行間出し手レートです。国際金融取引の指標として利用されています。

スポンサーリンク

金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > クレジットデリバティブ(4)トータル・レート・オブ・リターン・スワップ

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

トップへ戻る