整理回収機構(せいりかいしゅうきこう)
The Resolution and Collection Corporation(ザ・レゾリューション・アンド・コレクション・コーポレーション)
整理回収機構(RCC)
整理回収銀行と住宅金融債権管理機構の合併により設立
不良債権の買取り・回収が主な業務
整理回収機構は、公的資金を投入された破たん金融機関や住宅金融専門会社の、不良債権の買取り・回収を主な業務としている株式会社です。預金保険機構が株主となり、全額出資しています。整理回収機構(The Resolution and Collection Corporation)を略して、RCCと呼んでいます。
≪設立の経緯≫
RCCは、整理回収銀行と住宅金融債権管理機構の合併により、1999(平成11)年4月に設立されました。
◆整理回収銀行
整理回収銀行は、破たんした2つの信用組合(東京協和信用組合と安全信用組合)の業務を引き継ぐため、1995(平成7)年1月に東京共同銀行として設立され、1996(平成8)年9月に整理回収銀行に名称変更したものです。
◆住宅金融債権管理機構(住管機構)
住宅金融債権管理機構は、住宅金融専門会社(旧住専)の破たん処理のために、1996(平成8)年7月に設立されたものです。
※住宅金融専門会社(旧住専)は、バブル崩壊により多額の不良債権を抱え、6850億円の公的資金が投入されました。
≪RCCの業務≫
RCCの主な業務は、旧住専や破たん金融機関から買い取った債権の回収業務、破たん原因(不良債権の発生)に関与した経営者の責任追及、信託業務などです。
※骨太の方針とは、2001(平成13)年6月26日に閣議決定された「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」のことです。この骨太の方針に基づき、2001(平成13)年8月31日に信託業務兼営が許可されました。
≪債権の回収≫
RCCでは、貸金請求訴訟・不動産競売・資産の差し押さえなどの法的手続きや、交渉による分割弁済・担保不動産の任意売却などの任意の手続きによって、債権を回収しています。
◆債権放棄
RCCでは、再生の見込みのある企業に関しては、再建支援の目的で、債権放棄に応じています。
1999(平成11)年4月(RCC発足)~2002(平成14)年3月末の債権放棄額は、1937億円(212件)となりました。
≪一次負担と二次負担≫
不良債権の買取り・回収には、一次負担、二次負担と呼ばれる損失が発生します。
◆一次負担
一次負担とは、RCCが不良債権を買取る際の買取価格と、実際の債権残高の差額のことです。一次負担には、公的資金があてられています。
◆二次負担
二次負担とは、RCCの回収額が買取価格を下回った場合の、回収額と買取価格の差額のことです。RCCが買取った債権を十分に回収できないと、新たに公的資金が投入されることになります。
そのため、RCCでは、金融機関の破たん処理費用の最小化を課題に掲げ、破たん原因に関与した者や回収を妨害した者に対する責任追及も行っています。
※回収額が買取価格を上回った場合には、回収益は国庫に納付となります。
≪信託業務≫
2001(平成13)年6月26日、整理回収機構(RCC)の機能強化が盛り込まれた、経済・財政運営の基本方針(「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」=骨太の方針)が閣議決定されました。これは、RCCが信託方式で金融機関の不良債権の処理を行えるように、信託兼営を認めるというものです。2001(平成13)年7月26日、RCCは金融庁に信託兼営の認可を申請し、8月31日に信託免許を付与されました。
RCCは、銀行と信託契約し、銀行の不良債権の回収を行います。銀行は、RCCから与えられた信託受益権を証券化して投資家に販売、不良債権を最終処理(オフバランス化)します。
回収額の低下による投資家離れを防ぐためにも、回収の見込みのない不良債権ばかりでなく、優良な債権も信託契約するよう、銀行の協力に期待が寄せられています。
◆信託機能活用:スキーム第1号
2002年1月25日、RCCは、信託機能を初めて活用した不良債権の証券化を行うことを発表しました。RCC、三菱信託銀行、ゴールドマン・サックス証券が共同で、複数の金融機関の不良債権を証券化します。
証券化の対象となるのは、あさひ銀行や三菱信託銀行などの不良債権、RCCが保有する不良債権、ゴールドマン・サックスグループが国内金融機関などから買い取った不良債権です。
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