確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)
defined contribution pension plan(ディファインド・コントリビューション・ペンション・プラン)
確定拠出年金(2)企業型年金
企業が拠出金を支払い、従業員が自己責任で運用を行う
企業型年金は、企業が拠出金(掛け金)を支払います。従業員が拠出金を支払うことはできません。また、限度額を超えて拠出することはできません。
拠出限度額は、企業がすでに企業年金(厚生年金基金、適格退職年金)を適応しているかどうかで違います。企業年金がある場合は年間21万6000円(毎月1万8000円)、企業年金がない場合は年間43万2000円(毎月3万6000円)となります。
企業型年金を導入できるのは、厚生年金を適用している企業です。導入するかどうかは、労使(労働者と使用者)が話し合って決めます。企業の一存で決めることはできません。
導入には、企業型年金の規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受ける必要があります。規約では、運営管理機関、資産管理機関、加入資格、拠出額の算定方法、運用方法の提示や支給方法、3年未満に加入資格を失った場合の、返還資産額(企業に返還する資産額)の算定方法などを決めます。
企業型年金は、企業が拠出金を支払い、従業員の個人別管理資産に積み立てられます。勤続3年以上になると、拠出金の受給権は全額、従業員のものとなります。しかし、勤続3年未満の場合は、規約に定めた算定方法により、従業員の個人別管理資産から企業に返還されることになります。
企業型年金に加入できるのは、60歳未満の従業員です。企業型年金の加入者が60歳になり加入資格を失った場合、または障害給付金を受け取る場合は、加入者ではなくなり、 企業型年金運用指図者となります。運用指図者は、個人別管理資産の運用指図を行いますが、加入者ではないので、企業からの拠出はありません
確定拠出年金は、税制面で優遇されています。企業の拠出金は、損金に算入することができます。運用のときには、年金資金に特別法人税が課税されることになりますが、2002年度まで凍結されています。また、給付のときには、年金で受け取る場合には公的年金等控除が適用され、一時金で受け取る場合には退職所得課税が適用されます。
これまでの確定給付型の企業年金は、株価低迷や金利低下などから、予定利率で運用できず、不足額は企業が負担しなければなりませんでした。しかし、確定拠出年金は、従業員が自己責任をもって運用する年金なので、企業のリスクがなくなります。
そのかわりに、企業は、従業員が正しい知識をもって運用を行えるように、従業員に対して投資教育(資産運用の基礎知識の説明、資料の提供など)を行う義務を負うことになります。
参考ファイル
金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > 確定拠出年金(2)企業型年金