債権放棄(さいけんほうき)
debt waiver(デット・ウエーバー)

債権放棄

経営が悪化した大手企業に対して、銀行が融資の返済を免除すること

 

債権放棄とは、経営が悪化した大手企業に対して、銀行が融資の返済の一部または全部を免除することをいいます。

 

企業が倒産してしまうと、銀行が回収できない債権額が増えてしまいます。また、関連企業が連鎖倒産してしまう可能性もあります。このような事態を未然に防ぎ、損失を最小限に抑えるために銀行は債権放棄を行い、企業が経営を再建できるように支援します。

 

最近では、債権放棄を要請する企業が増えています。しかし、公的資金の注入を受ける銀行が増えている今、銀行に債権放棄してもらうということは、公的資金によって民間企業が救済されているということになります。

 

最近のニュースでは、そごうの債権放棄を認めるかどうかで紛糾しました。2000年6月、そごうは6300億円の債権放棄を要請してきました。

 

預金保険機構は新生銀行からの要請を受けて、そごうの債権約2000億円を買い取りました。旧長期信用銀行の債権が新生銀行に引き継がれた時に、債権の価値が3年以内に2割以上目減りした場合には、預金保険機構に買い取りを請求できるという瑕疵(かし)担保条項が付いていたからです。

 

当初、その2000億円のうち970億円を債権放棄しようとしたのですが、国民の反感が強かったため、結局、民事再生法による法的処理に変更しました。法的整理は債権放棄に比べて、200億円程度の国の追加負担が発生します。

 

民事再生法の法的整理では、そごうの債権のうち担保のない約1500億円の8割にあたる1200億円がカットされることになるからです。約1000億円の引当金で埋めきれない200億円が国の追加負担となります。

 

国が私企業を救済するという悪(あ)しき先例を作らないための授業料と考えると、200億円も高いものではないのかもしれません。

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