よくわかる!金融用語辞典 【増資(2)募集方法】

増資(2)募集方法

増資(ぞうし)
capital increase(キャピタル・インクリース)

増資(2)募集方法

株主割り当て…持ち株数に応じて、株主に新株引受権を与える
第三者割り当て…縁故者に一定数の新株引受権を与える
公募…新株の応募者を一般投資家から募集する

 

有償増資の募集方法には、株主割り当て、第三者割り当て、公募などの方法があります。

 

増資(2)募集方法

 

≪株主割り当て≫

 

株主割り当ては、株主の中から株主を募集する方法です。持ち株数に応じた一定の割合で株主に新株引受権を与えて、資金を振り込んでもらいます。

 

新株引受権とは、会社が発行する新株を優先的に引き受ける権利のことです。新株引受権を誰に与えるかは、取締役会で決めることになっています。法律上は、株主に割り当てることは義務づけられていませんが、習慣的に株主に与えるようになっています。

 

この方法は、増資後の株主構成に大きな変化が生じないことや、資金の調達が比較的確実であることなどに利点があります。また、発行済株式数の増加、既存株主の持株数の増加を目的とした増資にも利用されます。

 

株主割り当ては、額面株式が発行されていたころは、額面価格や額面と時価の間の価格で行うのが一般的でした。
会社が株主の構成を変えずに増資したいときなど、資金調達を目的としない場合には、時価よりかなり有利な発行価格で株主に割り当てられます。

 

≪第三者割り当て≫

 

第三者割り当ては、発行会社と特別の関係にある第三者に、一定数の新株引受権を与えて募集を行う方法です。縁故者割当増資、縁故募集ともいいます。

 

第三者とは、取引先、金融機関、親会社、発行会社の役職員や従業員などの縁故者のことを指します。

 

この増資は、以下のような場合に利用されます。

 

(1)収益力が乏しく、普通の増資ができない場合
(2)取引先や提携先との、関係強化を行いたい場合
(3)上場基準を満たすために、資本金の増強を行いたい場合

 

そのため、払込み金額は、時価より割り引いた価格で行うのが普通です。発行価格を時価よりも低い価格にする場合には、株主総会でその理由を開示して、特別決議による承認を受けることが必要です。

 

≪公募≫

 

公募は、新株の応募者を、広く一般の投資家から募集する方法です。発行価格は、株式市場の時価を基準にして、少し低めに決められます。

 

公募には、発行条件がすべて均等であることや、発行価格が著しく不公平になってはいけないという商法規定があります。

 

公募には、直接募集と間接募集があります。
直接募集とは、発行者が新株の募集を行うものです。自己募集、直接発行ともいいます。
間接募集とは、発行者に委託された第三者(証券会社など)が新株の引き受けまたは募集を行うものです。委託募集、間接発行ともいいます。

 

公募は、株主層を拡大して市場性を高めたい場合や、買占めなどに対抗する場合に利用されます。

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