為替裁定取引(かわせさいていとりひき)
exchange arbitrage transaction(エクスチェンジ・アービトラージ・トランズアクション)
為替裁定取引(2)時間的裁定
時間的裁定…期日の異なる為替スワップを売買することによって、利鞘取りをする方法
時間的裁定とは、期日の異なる為替スワップを売買することによって、利鞘(りざや)取りをする方法です。利鞘(りざや)とは、売買の差額として得た利益のことです。
例えば、将来にドル金利が上昇して、日米の金利差が拡大すると予想されるときに、3ヶ月先物買い(直売り先買い)と6ヶ月先物売り(直買い先売り)を同時に行ないます。すると、3ヶ月後スタートの3ヶ月先物売り(直買い先売り)の先物予約を作っておくことができます。
3ヶ月後、ドル金利が予想どおりに上昇して日米の金利差が拡大すると、直先スプレッド(直物と先物の為替レートの差)も拡大します。そこで、3ヶ月先物買い(直売り先買い)という反対取引をすると、利鞘が得られます。しかし、予想がはずれて金利差が縮小すると、損失が出てしまう危険(リスク)があります。
では、具体的に数値を入れて考えてみましょう。
6ヶ月先物売りは、直物市場でのドル買い($1=¥110)と、6ヶ月先のドル売り($1=¥108)がセットになったスワップ取引です。6ヶ月間に2円(110-108=2)のコストを、取引相手に支払うことになります。
3ヶ月先物買いは、直物市場でのドル売り($1=¥110)と、3ヶ月先のドル買い($1=¥109)がセットになったスワップ取引です。3ヶ月間に1円(110-109=1)を、取引相手から受取れます。
3ヶ月後に、ドル金利は上昇し、為替も円安に推移しました。ドルと円の金利差が拡大したため、直先スプレッドも拡大しています。
3ヶ月先物買いは、直物市場でのドル売り($1=¥115)と、3ヶ月先のドル買い($1=¥113)がセットになったスワップ取引です。3ヶ月間に2円(115-113=2)を、取引相手から受取れます。
一連の取引をまとめると、6ヶ月先物売りで2円を支払い、3ヶ月先物買いで1円を受取り、3ヶ月後の3ヶ月先物買いで2円を受取っているので、合計で1円の利益を得ることになります。
(注)ここでは、説明を簡単にするために、実際の市場でのビッド(買い)とオファー(売り)の価格差や、資金の受け渡しが2営業日後に行われることなどは無視して例示しています。
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