為替スワップ取引(かわせすわっぷとりひき)
forward swap(フォワ-ド・スワップ)
為替スワップ取引(4)為替スワップの価格
買い/売りスワップ…期近でドルを買い、期先でそれを売る取引
売り/買いスワップ…期近でドルを売り、期先でそれを買う取引
≪スワップコストとスワップマージン≫
為替スワップには、「買い/売りスワップ」と「売り/買いスワップ」の2種類の取引があります。
「買い/売りスワップ」とは、期近でドルを買い、期先でそれを売る取引です。
例えば、ドルの買い/売りスワップは、1ドル=100円で直物を買い、期先に1ドル=95円で先物を売り戻すといった取引です。このとき、直物レート(100円)と先物レート(95円)の差額の5円を、取引相手に支払ったことになります。これを、スワップコストといいます。
一方、「売り/買いスワップ」とは、期近でドルを売り、期先でそれを買う取引です。
例えば、ドルの売り/買いスワップは、1ドル=100円で直物を売り、期先に1ドル=95円で先物を買い戻すといった取引です。このとき、直物レート(100円)と先物レート(95円)の差額の5円を、取引相手から受け取ったことになります。これを、スワップマージンといいます。
直物為替レートと先物為替レートの価格差を、直先スプレッドといいます。 直先スプレッドの支払側は、これをスワップコストと呼んでいます。一方、受取側は、これをスワップマージンと呼んでいます。
期近とは、現時点に近い手前の期日と言う意味です。今日や明日のように、現時点に近い期日を指します。期先とは、先の期日のことです。
≪為替スワップの価格≫
直先スプレッドは、交換される2国間の金利差によって決まります。その理由は、お金が自由に行き来できる市場では、どちらの国でお金を運用しても等しくなるように先物レートが調整されていくからです。
直先スプレッド=2国間の金利差
例えば、日本の金利が5%、米国の金利が10%であると仮定してみましょう。 直物レートは、1ドル=100円とします。
日本の銀行から100円を借りてドルと交換して、米国の銀行に預金すると、1年後、1ドル10セントが手に入ります。
もし、先物レートが$1=¥100であった場合、1ドル10セントは、110円と交換されます。銀行から借りた100円の利子は5円ですから、銀行に105円を返すと手元に5円(110円-105円=5円)の利益が得られます。もし、こんなうまい話があれば、誰もがドルでの運用を始めます。その結果、ドルの売り予約が増えます。ドルの売り手が増えるのですから、先物のドルの値段は下がっていきます。 1ドル=95円45銭まで下がると、1ドル10セントは、円と交換しても105円(1.1×95.45=105)にしかならなくなり、ドルで運用しようとする動きが止まります。
では、予約レートがもっと下がって1ドル=90円になったらどうなるでしょう。今度は、逆の動きが始まります。米国の銀行から1ドルを借りて日本の銀行に預金する動きです。1ドルを100円に替えて運用すると、1年後、105円になります。1ドル=90円でドルに換算すると、1ドル16セント(105÷90=1.16)になります。銀行には、1ドル10セントを返済すればいいのですから、6セントの儲けとなります。したがって、ドルの買い予約が増えていき、予約レートは上がっていきます。 1ドル=95.45円(105÷1.1=95.45)になると、儲けはゼロとなるのでドルの買い予約をする人もいなくなります。
結局、先物レートは、1ドル=95円45銭の水準で落ち着くことになります。
この直先スプレッド4.55円(100-95.45=4.55)は、日米の金利差5%(10-5=5)に相当します。
これは、円で運用しても、ドルで運用しても105円にしかならないように、先物レートが調整されていくことを意味します。円価での運用額とドルでの運用額が等しくなるように、先物レートが調整されていくのです。
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