ワラント債(わらんとさい)
bond with warrant(ボンド・ウィズ・ワラント)
ワラント債(1)ワラント債とは何か
発行会社の株式を買い付ける権利の付いた社債
≪ワラント債とは何か≫
ワラント債(新株予約権付社債)とは、発行会社の株式を買い付ける権利の付いた社債のことをいいます。この権利のことを、ワラント(新株予約権)と呼んでいます。ワラント(権利)を実行することを「行使(こうし)」する、実行しないことを「放棄」するといいます。
新株予約権付社債は、新株予約権の付いた社債です。従来の転換社債とワラント債(新株引受権付社債)は、2002年4月1日施行の商法改正により、新株予約権付社債に分類されました。
◆行使価格
ワラント(権利)を持っていると、その会社の株式を好きな時に、あらかじめ定められた価格で買い付けることができます。このあらかじめ定められた価格のことを、行使価格といいます。ワラント債の行使価格は、転換社債の転換価格に相当します。
◆行使期間
ワラント(権利)の有効期間のことを、行使期間といいます。行使期間を過ぎるとワラント(権利)はなくなり、無価値となります。
2002年4月1日施行の商法改正により、行使期間に関する制限はなくなりました。
※旧商法では、国内で発行されるワラントの行使期間を10年以内と定めていました。
◆付与率
社債額面に対して与えられる新株予約権の割合のことを、付与率といいます。額面100万円の社債に対して、新株100万円が買えるなら付与率は1、新株50万円が買えるなら付与率は0.5です。付与率が大きい方が、投資家にとっては有利となります。
2002年4月1日施行の商法改正により、付与率に関する制限はなくなりました。
※旧商法では、付与率は最大1と決められていて、社債の額面以上の新株は発行できませんでした。
◆ワラントの行使
ワラント(権利)を行使して株式を入手する際は、新たに資金が必要となります。株式入手後、社債は手元に残ります。転換社債の場合は、資金は不要ですが社債は手元に残りません。
ワラントを手仕舞いするには、ワラントを売却する方法と、ワラントを行使する方法があります。ワラント価格がパリティより高ければ、ワラントとして売却した方がプレミアム分だけ高く売れます。
※手仕舞い(てじまい)とは、取引所で転売をしてその取引を終えることです。
≪株価が値上り・値下がりした場合≫
株価が値上がりしているときにワラントを行使すると、その株式を時価よりも低い価格で買うことができます。
例えば株価が1200円になった場合、ワラントを行使すると、発行会社から株式を1株1000円で購入できます。それを株式市場へ持っていけば1200円で売れます。市場価格1200円と行使価格1000円との差額200円が利益です。
このワラントを1株あたり50円で買っていたとすると、200円から50円を差し引いた150円が純利益です。50円の投資資金で、150円の利益を得たことになります。
一方、その株が値下がりした場合には、ワラント(株を1000円で買う権利)は行使しません。ワラント購入費用50円が損失となります。ワラントは、1000円以下では行使しません。
参考ファイル
金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > ワラント債(1)ワラント債とは何か