信用取引(しんようとりひき)
margin trading(マージン・トレーディング)
信用取引(6)権利処理
制度信用銘柄の買建玉(売建玉)に権利が発生した場合、顧客が不当な利益を得ることのないように行う適正な処理のこと。
信用取引では、制度信用銘柄の買建玉または売建玉に、権利(新株引受権の付与、配当など)が発生した場合、買い方・売り方が不当な利益を得ることのないように、適正な処理を行います。これを権利処理といいます。
貸借銘柄の株主である証券金融会社が、株式の発行会社から権利を受け取り、権利処理価格を決定したうえで、証券会社を通して買い方・売り方に権利処理を行います。
※建玉(たてぎょく)とは、未決済の状態にある取引のことをいいます。信用取引の顧客は、買付資金や売付株券を期限までに返済します。この返済がまだ済んでいない状態にある買付資金や売付株券のことを、建玉と呼んでいます。
≪新株引受けの場合≫
株式分割などで新株引受けの権利が発生した場合、この権利を売却処理し、金銭に換算します。
証券金融会社は、権利引受(権利の買取り)を希望する買い方からの申し込みを受け、その残りを競争入札方式で売却します。この落札価格により権利処理価格を決定し、売り方から徴収し、買い方に支払います。
買い方は、資金を借りて株式を購入し、その株式を所有しています。従って、権利を受取ります。株式を購入したときの価格から、権利処理価格を差し引く方法で処理します。
売り方は、売却している株式の配当が支払われると権利落ちとなり、株価は配当分だけ下がると考えられます。従って、権利処理価格を支払います。株式を売却したときの価格から、権利処理価格を差し引く方法で処理します。
≪配当の場合≫
配当金の権利が発生した場合、権利処理として、配当金相当額の受払いを行います。受払いは、税引き後の金額で行います。
証券金融会社は、発行会社から受け取った配当金と、売り方から徴収した配当金相当額を買い方に分配します。
買い方は、資金を借りて株式を購入し、その株式を所有しています。従って、配当を受取ります。
売り方は、株式を借りて売却しているため、株式を所有しておらず権利落ちとなります。従って、配当金相当額を支払います。
参考ファイル
金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > 信用取引(6)権利処理