ケインズ経済学(けいんずけいざいがく)
Keynesian economics(ケインジアン・エコノミクス)
新古典派経済学(しんこてんはけいざいがく)
neoclassical economics(ネオクラシカル・エコノミックス)
ケインズ経済学と新古典派経済学
マクロ経済学では、「どのように国民所得が決まるのか」についての議論が展開されています。この議論を大別すると、ケインズ経済学と新古典派経済学という2つの理論にわけられます。
ケインズ経済学は、有効需要の原理を基盤にして、「需要側が国民所得を決定する」と考える理論です。これは、経済に十分な供給能力(生産能力、労働力)があるとして、(1)市場は超過供給(需要<供給)である、(2)失業が解消されない、という前提から生まれました。経済は「完全雇用水準での均衡」に対して不均衡(不安定)な状態にあるという考え方です。
ケインズは、失業の原因は、「需要不足により、過少雇用水準で経済が均衡しているため」だと考えました。そこから、「政府が積極的な経済政策(公共事業)を行って、需要不足を解消するべきだ」という理論が展開されています。経済政策には財源が必要であるため、国民の租税負担は大きくなります。国民負担の大きい政府を目ざします。
ケインズが需要サイドを重視する理論を展開していることから、ケインズ経済学のことをディマンドサイド経済学、ケインズモデルのことを需要重視モデルといいます。また、経済が「完全雇用水準での均衡」に対して不均衡な状態にある短期を想定していることから、ケインズモデルのことを短期均衡モデルと呼ぶ場合もあります。
一方、新古典派経済学は、セーの法則を基盤にして、「供給側が国民所得を決定する」と考える理論です。これは、(1)価格メカニズムにより市場は完全雇用水準で均衡(需要=供給)している、(2)完全雇用が達成されている、という前提から生まれました。不況は一時的なもので、市場に任せておけば、価格メカニズムが働いて完全雇用状態が生まれ、経済は安定した均衡状態になるという考え方です。政府が必要以上に経済に介入しない、国民負担の小さい政府を目ざしています。
新古典学派が供給サイドを重視する理論を展開していることから、新古典派経済学のことをサプライサイド経済学(広義)、新古典派モデルのことを供給重視モデルといいます。また、経済が均衡状態にある長期を想定していることから、新古典派モデルのことを長期均衡モデルと呼ぶ場合もあります。
≪ケインズ経済学と新古典派経済学の比較≫
(注)ここでの分類は、理論をやさしく解説するための便宜上のもので、諸学説とは見解の異なる点があります。
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