よくわかる!金融用語辞典 【保険会社(2)保険会社の破たん】

保険会社(2)保険会社の破たん

保険会社(ほけんがいしゃ)
insurance company(インシュランス・カンパニー)

保険会社(2)保険会社の破たん

不良債権や逆ざや契約の増加により、保険会社の経営が悪化
1998(平成10)年に保険契約者保護機構を導入

 

保険業界は高度成長を遂げてきましたが、バブル崩壊後は、不良債権に加えて逆ざや契約が増えたため、経営が悪化した保険会社が増えました。

 

逆ざや契約とは、低金利や株式市場の低迷により、バブル時代に契約した高い予定利率(生命保険の契約時に約束する運用利回り)より実際の運用利回りが下回ることです。

 

◆契約者保護

 

1997(平成9)年には日産生命の経営が破たんし、保険契約保護基金の資金は枯渇してしまいました。この制度には、破たんした保険会社の業務を引き継いでくれる救済保険会社が現れないと機能しないという問題がありました。

 

そこで、1998(平成10)年12月に保険契約者保護機構という新制度を導入しました。保護機構では、救済保険会社に資金援助を行います。また、救済保険会社が現れない場合は、機構または機構の子会社が保険契約をいったん引き継ぎ、救済保険会社を探して再移転することになります。

 

≪生命保険会社の破たん≫

 

●日産生命(1997年4月25日破たん)
保険契約は、1997年10月1日にあおば生命に移転しました。1996年に導入された保険契約保護基金の資金は、日産生命の破たんで枯渇してしまいました。

 

●東邦生命(1999年6月4日破たん)
保険契約は、2000年3月1日にGEエジソン生命に移転しました。生命保険契約者保護機構では、破たん処理のため、GEエジソン生命に3750億円を拠出しています。

 

●第百生命(2000年5月31日破たん)
保険契約は、2001年4月2日にマニュライフ・センチュリー生命(現 マニュライフ生命)に移転しました。生命保険契約者保護機構では、破たん処理のため、マニュライフ・センチュリー生命に1450億円を拠出しています。
※マニュライフ・センチュリー生命は、2001年9月にマニュライフ生命保険株式会社に社名変更しました。

 

●大正生命(2000年8月28日破たん)
筆頭株主クレアモントキャピタルホールディングの設立者に85億円を詐取されたことが破たんの原因とみられています。
2001年2月、大和生命保険はソフトバンク・ファイナンスと共同出資して、あざみ生命保険株式会社を設立、
2001年3月31日に、大正生命の保険契約はあざみ生命に移転されました。
※2002年4月1日、あざみ生命は大和生命と合併し、大和生命保険株式会社となりました。

 

●千代田生命(2000年10月9日破たん)
バブル時代に積極的に行った融資により多額の不良債権を抱えて経営が悪化し、破たんとなりました。負債総額は2兆9366億円です。
アメリカン・インタ-ナショナル・グル-プ(AIG)とスポンサ-契約し、AIGスター生命保険株式会社に社名を変えて組織変更を行い、2001年4月20日に業務を開始しました。

 

●協栄生命(2000年10月20日破たん)
千代田生命が破たんしたことで、契約者に動揺が広がり、解約数が増えたことが経営破たんの原因となりました。負債総額は4兆5297億円です。
米国プルデンシャル社とスポンサー契約し、ジブラルタ生命保険株式会社に社名を変えて組織変更を行い、2001年4月3日に業務を再開しました。生命保険契約者保護機構や国からの資金援助を求めない、生保の破たん処理としてははじめての計画です。プルデンシャル社が、1500億円以上の資金を拠出しました。

 

●東京生命(2001年3月23日破たん)
米国GEキャピタルとの提携交渉決裂と大和銀行の支援撤回により、破たんとなりました。逆ざやによる損失、株価低迷、相次ぐ生保の破たんによる解約数増加などが破たんの原因です。負債総額は9802億円です。
太陽生命及び大同生命とスポンサー契約し、社名を「T&Dフィナンシャル生命保険株式会社」に変更して、2001年10月22日に業務を開始しました。

 

≪損害保険会社の破たん≫

 

●第一火災海上(2000年5月1日破たん)
2001年4月1日、保険契約は損害保険契約者保護機構に移転しました。保護機構の負担額は400億円になります。

 

●大成火災海上(2001年11月22日破たん)
米同時テロの影響による保険金支払で、398億円の債務超過に陥る見通しとなり、更生特例法(会社更正法に相当)を申請しました。負債総額は4131億円です。
大成火災海上は、2001年11月30日に、安田火災海上、日産火災海上とスポンサー契約を締結しました。
安田火災と日産火災は2002年7月1日に合併して「損害保険ジャパン」となり、2002年12月1日に大成火災と合併しました。

 

保険会社(2)保険会社の破たん

 

※負債総額は、帝国データバンク調べによるものです。

スポンサーリンク

金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > 保険会社(2)保険会社の破たん

 このエントリーをはてなブックマークに追加 

トップへ戻る