よくわかる!金融用語辞典 【証券会社(2)分別保管】

証券会社(2)分別保管

証券会社(しょうけんがいしゃ)
securities company(セキュリティーズ・カンパニー)

証券会社(2)分別保管

証券会社が投資家から預かった資産(有価証券やお金)を、証券会社の資産と明確に区別して保管する
証券会社の破たん時に、投資家の資産の返還が適切に行われない場合には、投資者保護基金が一人当たり上限1000万円までの損失を補償

 

証券会社は、投資家から預かった資産(有価証券やお金)を分別保管という方法で管理しています。

 

分別保管とは、証券会社が投資家から預かった資産(有価証券やお金)を、証券会社の資産と明確に区別して保管するという制度です。証券会社が破たんした場合に投資家の資産を保護するために、1999(平成11)年4月から、証券会社に分別保管が義務付けられました。

 

≪分別保管の対象≫

 

分別保管の対象となるのは、投資家から預かった有価証券やお金です。

 

◆有価証券の分別保管

 

保護預かりの株式や債券、代用有価証券(信用取引の委託保証金を有価証券で代用したもの)は、分別保管の対象になります。

 

保管方法には、投資家から預かった有価証券を第三者機関(証券保管振替機構など)に委託する方法と、証券会社で保管する方法があります。

 

◆お金の分別保管

 

投資家の預け金(有価証券の売買にかかわる代金、配当金、償還金など)は、分別保管の対象になります。

 

投資家から預かったお金は信託銀行に信託して、1週間に1度以上、不足額の追加チェックを行っています。

 

◆分別保管の対象外

 

信用取引における建玉及びそれに伴う評価損、有価証券店頭デリバティブ取引、外国市場証券先物取引、選択権付債券売買取引などは分別保管の対象外です。

 

証券会社(2)分別保管

 

≪証券会社が破たんした場合≫

 

投資家の資産(有価証券やお金)は分別保管によって保護されているため、投資家の請求によって返還されます。ただし、破たんした証券会社が発行した有価証券(株式や社債)は、保護されません。

 

証券会社の違法行為によって分別保管がされていなかった場合や、破たん時の混乱やトラブルなどにより、投資家の資産(有価証券やお金)の返還が適切に行われない場合には、投資者保護基金が一人当たり上限1000万円までの損失を補償します。

 

◆投資者保護基金

 

投資者保護基金では、証券取引の安全性や信頼性の維持を目的として、証券会社が破たんした場合に、投資家の資産を保護し、損失を補償します。2001(平成13)年3月末までは全額が補償されていましたが、2001年4月以降は一人当たり1000万円までの補償となっています。

 

補償の対象外となっているのは、適格機関投資家(銀行、証券会社、保険会社など)、国・地方公共団体、日本銀行、預金保険機構、投資者保護基金、保険契約者保護機構などです。

 

投資者保護基金には、日本投資者保護基金(主に国内の証券会社が会員)と証券投資者保護基金(主に外資系の証券会社が会員)の2つがありましたが、2002(平成14)年7月1日に統合され、「日本投資者保護基金」となっています。日本国内の証券会社は、「日本投資者保護基金」に加入することが義務付けられています。

 

◆参考:証券会社の破たん

 

1997(平成9)年11月3日、準大手の三洋証券が会社更生法の適用を申請し、破たんしました。

 

1997(平成9)年11月24日、大手の山一証券が自主廃業を決定し、破たんしました。

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