日銀ネット(にちぎんねっと)
Bank of Japan financial network system(バンク・オブ・ジャパン・フィナンシャル・ネットワーク・システム)
日銀ネット(日本銀行金融ネットワークシステム)
日銀と金融機関との間の資金決済を、オンラインで処理するシステム
時点ネット決済を廃止し、即時グロス決済に統一
日銀ネット(日本銀行金融ネットワークシステム)は、日本銀行と金融機関との間の資金決済を、オンラインで処理するネットワークシステムです。
民間銀行は、日本銀行に当座預金の口座をもっています。民間銀行の日々の過不足は、この預金口座を振り替えることで決済されます。この決済システムが日銀ネットです。
日本銀行本支店と参加金融機関は、日本銀行電算センターと通信回線で接続されていて、全銀システム・手形交換制度・外国為替円決済制度などで決済処理された交換尻の最終決済を行います。
≪日銀ネットの主な業務≫
日銀ネットでは、資金決済システムとして当座預金の決済(内国為替決済)や外国為替円決済制度に関する決済(外国為替決済)を行うほか、証券決済システムとして国債の決済(短期国債の売買取引、国債振替決済、国債登録、国債発行、国債資金同時受渡(国債DVP)など)を行っています。
≪決済方法≫
これまで、日本銀行は、日銀ネットにおける決済の方法として、(1)時点ネット決済、(2)即時グロス決済(RTGS)、の2つの方法を行ってきました。しかし、実際には、資金効率のよい時点ネット決済が主流となり、即時グロス決済はあまり利用されていませんでした。
2001(平成13)年1月4日、日本銀行は時点ネット決済を廃止し、即時グロス決済に統一しました。これは、金融機関が破たんした場合に、即時グロス決済の方が金融システム全体に与える影響が小さいからです。
◆時点ネット決済
時点ネット決済とは、1日に数回設けられた決済時点まで振替指図をためておき、決済時点ごとに、各金融機関の受取総額と支払総額を算出し、差額部分のみを振替決済する方法です。
時点ネット決済は、取引をまとめて集中決済するため、金融機関が用意する決済資金が少なくて済みます。
しかし、金融機関が決済不能になると、その金融機関の取引を除いたうえで、決済をすべてやり直すことになるため、全金融機関の決済が停止してしまいます。また、支払いを受けられなくなった金融機関が連鎖的に決済不能となる「システミック・リスク」が発生する可能性があります。
システミック・リスク
システミック・リスク(Systemic risk)とは、1つの金融機関が倒産などから決済不能となった場合に、決済関係を通じて他の金融機関にもその影響が及び連鎖的に決済不能を引き起こし、金融システム全体の機能が失われてしまう危険性のことをいいます。
◆即時グロス決済(RTGS)
即時グロス決済(Real Time Gross Settlement:RTGS)とは、日本銀行が、金融機関からの振替指図を1件ずつ、即時に決済する方法をいいます。日本銀行は、2001(平成13)年1月4日から、日銀ネット(当座預金と国債)の決済方法を、すべて即時グロス決済で行うことを決めました。
即時グロス決済では、1件ずつ即時に決済を行うため、金融機関が決済不能となっても、その影響を受けるのは取引相手(支払いを受ける側)の金融機関だけですみます。したがって、連鎖的に決済不能を引き起こすシステミック・リスクを回避させることができます。また、海外との金融取引が増えたことで、システミック・リスク発生時に影響を受ける範囲が国際的に拡大する恐れがあることから、海外の主要各国の中央銀行でも、即時グロス決済を採用しています。
即時グロス決済では各取引ごとに決済を行うため、金融機関は、差額決済に比べて多額の決済資金を用意しなければなりません。資金が足りなければ、取引の流動性は失われてしまいます。そこで、日本銀行では、決済資金が不足した金融機関に対して日中当座貸越を行い、一時的に資金を供与しています。日中当座貸越は、金融機関が差し入れた担保の範囲内で、当座貸越日の終業時までに返済する、無利子の融資です。
金融大学TOP > よくわかる!金融用語辞典 > 日銀ネット(日本銀行金融ネットワークシステム)