よくわかる!金融用語辞典 【証券税制改正(平成15年度税制改正大綱)】

証券税制改正(平成15年度税制改正大綱)

証券税制改正(しょうけんぜいせいかいせい)
revise the securities taxation system(リバイズ・ザ・セキュリティーズ・タクセイション・システム)

証券税制改正(平成15年度税制改正大綱)

株式譲渡益、株式配当金、株式投資信託分配金
 ・源泉徴収のみ(申告不要)
 ・税率10%の優遇措置の導入
 ・2003(平成15)年1月1日施行

 

2002(平成14)年12月に「2003(平成15)年度税制改正大綱」が発表され、2003年1月1日に施行されました。

 

これまでの課税制度は複雑でわかりにくく、個人投資家の参入を妨げるものであったため、より多くの個人投資家を株式市場に呼び込むことを目的として、簡素でわかりやすい税制にすべく、改正が行われました。

 

改正では、株式譲渡益、株式配当金、株式投資信託分配金の課税方法を源泉徴収20%のみ(申告不要)とし、それぞれ5年間の優遇税率(10%)を導入しました。

 

≪課税方法の見直し≫

 

証券税制改正(平成15年度税制改正大綱)

 

※株式投資信託分配金の償還(解約)損については、2004(平成16)年1月以降、株式譲渡益と通算できるようになります。

 

≪上場株式等の譲渡益に関する見直し≫

 

主な内容は、税率の引き下げ、優遇税率10%(5年間)の導入、特定口座制度の導入、申告分離課税の一本化(源泉分離課税の廃止)などです。
※長期(1年超)保有の上場株式に関する特例は廃止となりました。

 

証券税制改正(平成15年度税制改正大綱)

 

◆上場株式等の税率の引き下げ

 

2003(平成15)年1月1日以降に上場株式等を譲渡した場合、申告分離課税の税率は20%(国税15%、地方税5%)に軽減されました。

 

◆優遇税率10%の導入

 

2003(平成15)年1月1日から2007(平成19)年12月31日までの5年間は、上場株式等に優遇税率10%が適用されます。

 

証券税制改正(平成15年度税制改正大綱)

 

◆損失の繰越控除

 

2003(平成15)年1月1日以後に生じた譲渡損失をその年に控除できない場合は、翌年以後3年間の繰り越し控除が認められます。

 

◆暫定税率の特例の廃止

 

長期(1年超)保有の上場株式を2003(平成15)年から2005(平成17)年の間に譲渡した場合に、税率を10%(国税7%、地方税3%)とする特例制度は、2003(平成15)年1月1日に廃止となりました。

 

◆100万円特別控除の特例の廃止

 

長期(1年超)保有の上場株式を2001(平成13)年10月1日から2005(平成17)年の間に譲渡した場合に、100万円まで非課税とする優遇措置は、2003(平成15)年1月1日に廃止となりました。

 

◆緊急投資優遇措置

 

2001(平成13)年11月30日から2002(平成14)年12月31日までに購入した上場株式(合計1000万円まで)を、2005(平成17)年から2007(平成19)年までの3年間に譲渡した場合、譲渡益は非課税となります。

 

≪特定口座制度の導入≫

 

特定口座制度とは、投資家が証券会社に特定口座を開設することで、投資家の納税事務を証券会社が代行する制度です。2003(平成15)年1月1日から導入されました。

 

株式譲渡益の課税方法は、2003(平成15)年1月1日から申告分離課税に一本化され、源泉分離課税は2002(平成14)年12月31日に廃止となりました。申告分離課税では個人投資家が自分で納税手続きを行うため、投資家にとっては不便な制度となります。そこで、これを緩和するために、確定申告の手間を不要とする特定口座制度が導入されました。

 

◆特定口座の種類

 

特定口座には、源泉徴収する「源泉徴収口座」と、源泉徴収しない「簡易申告口座」の2種類があります。

 

源泉徴収口座では、取引ごとに源泉徴収されます。投資家が確定申告をする必要はありません。ただし、税制優遇措置の適用を受ける場合や、複数の特定口座を通算して利用する場合には、確定申告を行う必要があります。
一方、簡易申告口座では、証券会社が発行する特定口座の年間取引報告書をもとに、投資家が確定申告を行います。

 

証券税制改正(平成15年度税制改正大綱)

 

◆タンス株の受け入れ

 

特定口座には、全ての上場株式等(自己保管していたタンス株を含む)を入れることができます。この場合、株式を実際に取得した価額、または2001(平成13)年10月1日の終値の80%をみなし取得価額として受け入れます。受入期間は、2003(平成15)年4月1日から2004(平成16)年12月31日です。

 

≪配当課税の見直し≫

 

◆現行制度

 

配当金に対する税金は、原則、総合課税(源泉徴収20%)です。ただし、1銘柄あたり年10万円以下の配当収入であれば源泉徴収20%(申告不要)、1銘柄あたり年50万円未満の配当収入であれば源泉徴収35%の適用を受けることができます。
※総合課税とは、いろいろな所得を総合して計算する課税方法です。
※源泉徴収とは、源泉税の一部を前払いする形で、配当金を受取る時点で差し引かれる課税方法です。源泉徴収による税金の払い過ぎや不足分については、確定申告によって清算します。

 

◆税制改正

 

今回の税制改正では、上場株式等の配当課税(大口株主を除く)について、源泉徴収税率を軽減する措置を設けています。大口株主とは、発行済株式総数5%以上を保有する株主のことです。

 

2003(平成15)年4月1日から2008(平成20)年3月31日までの5年間は、源泉徴収税率を10%とし、2008(平成20)年4月1日以降は源泉徴収税率を20%とします。

 

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◆対象外の配当金

 

上場株式等以外の配当金や、大口株主に対する配当金については、現行制度が適用されます。ただし、源泉分離選択制は、2003(平成15)年3月31日に廃止となります。

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