株式取引入門講座 第11回 テクニカル分析
講師:有馬秀次
1.テクニカル分析
テクニカル分析は、グラフ(図表)を使って株価の動きを分析する方法です。このグラフのことを欧米ではチャート、日本では、罫線(けいせん)と呼んでいます。
過去の株価変動パターンから、将来の株価変動パターンを予測しようとする方法です。チャートから、相場の位置、株価の方向性、相場の勢い、パターン(型)を読み取ります。テクニカル分析のチャートは、よく知られているものだけでも数十種類にのぼります。
テクニカル分析を支持する人達は、株価には、株価を決定するのに必要なすべての情報が織り込まれていると考えています。ここでは、日本でよく使われている移動平均チャートとローソク足を紹介します。
2.移動平均チャート
移動平均チャートは、過去一定期間の株価の平均をグラフにしたもので、米国のグランビル氏が考案したチャートです。
例えば、昨日の株価が100円、今日の株価が200円であったとすると、過去2日間の平均値は150円となります。この計算を1日ずつ移動していって平均値を計算するところから、移動平均線と呼んでいます。
移動平均線が上昇していれば上昇相場、下降していれば下降相場です。平均値で相場の流れを見ると、目先の細かな動きが抑えられ、長い眼で相場の流れを見ることになります。
移動平均チャートは、長短2つの平均線を組み合わせて使います。相場の動向が短い平均線に早く表れる性質を利用して売買のサイン(信号)を得る方法です。
例えば、短期線が長期線を下から上へ突き抜けると、株価が上昇基調へ転換した信号だと捉えます。これをゴールデンクロスと呼んでいます。買いのサインです。長期線が下降の後、横ばい傾向であるときに有効です。
逆に、短期線が長期線を上から下へ突き抜けると、株価が下降基調へ転換した信号だと捉えます。これをデッドクロスと呼んでいます。売りのサインです。長期線が上昇基調から横ばいに転じている時に有効です。
短期線が長期線を横切っていっても、長期線の基調が強い場合には、一時的な相場の動きで転換の信号とは捉えません。ここが判断のむずかしいところです。相場の位置や相場の勢いの強さから判定します。
移動平均線は、平均する期間により、短期線(25日、30日、6週)、中期線(75日、90日、13週)、長期線(180日、200日、26週)に分けられます。
移動平均線は、平均期間が長くなる程、日々の動きに影響されなくなります。そのため、長期間の平均線になる程、チャートの信頼度は高まるのですが、売買のサインが表示されるタイミングは遅れます。逆に、短期の平均線には、売買のサインが迅速に表示されるのですが、チャートの信頼性は落ちてしまいます。
移動平均線は、こうしたチャートの性質を考慮にいれて組み合わせています。例えば、中期線と長期線の組み合わせ等は、よく使われる組み合わせです。
3.ローソク足
≪ローソク足の意味≫
日本では、グラフのことを罫線(ケイ線)と呼んでいます。ローソク足は日本独自の罫線です。グラフの中にローソク型をした記号を使うところから、ローソク足と呼んでいます。ローソク足は、別名、陰陽線ともいいます。
ローソク足は、始値、終値、高値、安値の4本値をローソク型の記号で図示するグラフです。ローソク足は、1日の値動きを4本値という形で表示するため、グラフの中にその日の相場の勢いを読みとることができます。
相場の上昇と下降がすぐわかるように、白色と黒色にわけて表示しています。相場が上昇した場合には、白のローソクで表します。これを陽線といいます。相場が下落した場合には、黒のローソクで表します。これを陰線といいます。
相場の高値はローソクの上に突き出す線で表し、安値はローソクの下に突き出す線で表します。この線をひげといいます。値動きが大きい程、ローソクの形は長くなります。
1日の株価が始値1000円、安値950円、高値1100円、終値1050円で値上がりした場合、ローソク足は陽線となります。この日は、始値1000円から終値 1050円まで値上がりしたので、相場の勢いは強いと捉えます。
1日の株価が始値1050円、安値950円、高値1100円、終値1000円で値下がりした場合、ローソク足は陰線となります。この日は、始値1050円から終値 1000円まで値下がりしたので、相場の勢いは弱いと捉えます。
≪相場の勢い≫
株価の動き方は、独特の形のローソクとして表れます。相場の勢いが強い陽線から弱い陰線まで、代表的なローソク足を図にしてみます。
(a)陽の丸坊主…相場の勢いが一番強い陽線です。始値から終値まで一方的に値上がりしたときです。ローソクにひげがありません。
(b)陽の大引け坊主…始値から一旦値下がりして、終値にかけて値上がりで終わった場合です。ローソクの下にだけ、ひげがある陽線です。
(e)寄引同時線…始値と終値が同じである場合、プラス記号に似た十字型の線になります。相場が一服していることを示します。ひげが長い+線ほど、売り買いの攻防が激しいことを示します。相場の転換点に出やすい線です。
(f)4値同時線…同じ寄引同時線でも取引が少ない場合、単なるマイナス記号に似た線になります。気乗りのしない薄商いの状態を示しています。同時線の相場の勢いは丁度中ごろです。相場の勢いが弱い場合は、陰線で示します。
(g)陰の寄付坊主…始値から大きく値下がりするも、終値にかけて少し持ち直した場合は、少し弱い陰線です。ローソクの下にだけ、ひげがある陰線です。
(j)陰の丸坊主…相場の勢いが一番弱いと考えられるのは、始値から終値まで一方的に値下がりしたときです。ローソクにひげがありません。
≪ローソク足の読み方≫
ローソク足から相場の転換点を探る場合は、個々のローソク足をみるのではなく、前日、前々日のローソク足と関連させて相場動向を捉えます。現在の相場の位置を考えて、相場の勢いをローソク足から読み取ります。
相場の天井圏で長い陽線が出たのち、寄引同時線が出た場合、相場のエネルギーは出尽くしており、相場が下降に転じる転換サインと捉えるのです。こうしたローソク足の組み合わせから相場動向を表す典型的なパターンに「つつみ線」、「はらみ線」等の名前が付けられています。
ローソク足の各パターンは、過去の経験から現われやすい相場のパターンを示唆しているもので、絶対的な法則ではないことに注意が必要です。
まとめ
テクニカル分析
グラフを使って株価の動きを分析する方法
移動平均チャート
過去一定期間の株価の平均をグラフ化
ゴールデンクロス…短期線が長期線を下から上へ突き抜ける。株価が上昇基調へ転換した信号
デッドクロス…短期線が長期線を上から下へ突き抜ける。株価が下降基調へ転換した信号
ローソク足
始値、終値、高値、安値の4本値をローソク型の記号で図示。別名、陰陽線
陽線…相場が上昇した場合、白のローソクで表す
陰線…相場が下落した場合、黒のローソクで表す
問題と解答
- テクニカル分析は、●●フを使って株価の動きを分析する方法です。 ●●ートから、相場の位置、株価の方向性、相場の勢い、パターンを読み取ります。
- 移動平均チャートは、過去一定期間の●●の平均をグラフにしたもので、長短2つの平均線を組み合わせて使います。移動平均線が上昇していれば上昇●●、下降していれば下降相場です。
- 短期線が長期線を下から上へ突き抜けると、株価が●●基調へ転換した信号で、買いのサインです。これを●●●●●クロスと呼んでいます。
- 短期線が長期線を上から下へ突き抜けると、株価が●●基調へ転換した信号で、売りのサインです。これを、●●●クロスと呼んでいます。
- 移動平均線は、平均する期間により、●●線(25日、30日、6週)、中期線(75日、90日、13週)、●●線(180日、200日、26週)に分けられます。
- ローソク足は、始値、終値、高値、安値の4本値を●●ソク型の記号で図示するグラフです。別名、●●線ともいいます。
- ローソク足は、白色と黒色にわけて表示しています。相場が上昇した場合には白のローソクで表します。これを●線といいます。相場が下落した場合には黒のローソクで表します。これを●線といいます。
- ローソク足の相場の高値はローソクの上に突き出す線で表し、安値はローソクの下に突き出す線で表します。この線を●●といいます。値動きが大きい程、ロー●●の形は長くなります。
- ローソク足で、相場の勢いが一番強い陽線を、●●●坊主といいます。相場の勢いが一番弱い陰線を、●●●坊主といいます。どちらもローソクにひげがありません。
- 始値と終値が同じ場合、ローソク足はプラス記号に似た十字型の線になります。これを、●●同時線といいます。取引が少ない場合、ローソク足は単なるマイナス記号に似た線になります。これを、4値●●線といいます。
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(答え)下降、デッド
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(答え)ロー、陰陽
(答え)陽、陰
(答え)ひげ、ソク
(答え)陽の丸、陰の丸
(答え)寄引、同時